第27回公演 若衆公演 
創立20周年記念連続公演第1弾
朝に死す
作・清水邦夫
演出・片寄晴則

スタッフ
照明 富永浩至 天野真也  効果 片寄晴則  衣裳 赤羽美佳子 外山みゆき  小道具 佐久間崇  
舞台監督 片寄晴則  制作 上村裕子 村上祐子

キャスト
男・福崎米蔵  女・山田知子

とき
1995年4月15日(土)開演午後6時 午後8時 16日(日)開演午後3時 午後6時
ところ
演研芝居小屋(帯広市西2条南17丁目)
前売り800円  当日1000円  (コーヒー券付き)

アンケートを見る

●上演パンレットより

上演にあたって

片寄 晴則
 舞台の上で自分の感情をストレートにぶつけ熱演することに快感を覚え、それがカッコイイ役者だと思い込んでいたあの頃…、この作品と出逢い、とても演りたかったことを覚えています。実現することなく二十数年の時が流れ、今では役者をやることなど恥の上塗りだと思っている私は、四捨五入すると五十歳になってしまいました。そんな訳で、若い劇団員が稽古台本としてこの作品を選んできた時は、昔の自分を想い出し、思わずニヤリとしたものです。
 さて今回私がやらねばならない作業はまず、若さゆえの焦燥感や挫折感をストレートに噴出させたうえで、役と現実の自分をオーバーラップさせ、その中から真実の自分の姿を、どれだけ抑えたところで演じられるかを導くことだと考えています。格好良く感情を爆発させて演じるより、格好悪く自分の内面 をさらけ出すことがカッコイイことだと、役者にどう理解させ、どう舞台に存在させることができるかどうか…。
 二人の役者は苦しみながらも少しづつほんの少しづつですが、光り始めたように思われます。若い二人の全力投球を、清々しく受け止めていただけたらと思っています。


つ ぶ や き

上村 裕子
 上演出来るか出来ないかは二の次で、若者達だけで脚本を選び、自主稽古を重ねてきた今回の作品。若衆公演として上演することに決定してからは、あっという間に日々が流れたような気がします。最初は、初舞台同士のせいか、妙に緊張して声も出ず、幕が上がるのだろうかと心配でした。けれど、若い二人が必至で稽古に励む姿は、私の目にはとても新鮮に映りました。そして、少しずつ二人が輝き出してきた今、「大丈夫、やれる」という確信を持っています。
 作りごとではない熱い思いが、客席に伝わるでしょうか?どうぞ、二人の織りなす愛を感じてやって下さい。

佐久間 孝
 お久しぶりです。恙なくお暮らしだったでしょうか。
 阪神大震災、地下鉄サリン事件と世紀末のエピローグは、なおも矢継ぎ早に我々に語り続けるつもりなのか─
 平穏、平和は大好きです。けれど、受け入れることだけに慣れ親しみ、時代に拗ねることを回避し、正常な反駁すら見失いかけてはいないだろうか。
 いま、スピードを緩め、オフロードにシフトして、この小屋から「謎の旅」をしてみませんか─
 何だかこちらの方は、すっかり迷路に嵌ったようではあるけれども…

福崎 米蔵
 演劇という世界に憧れ、この芝居小屋を覗いて一年半の時が過ぎ、そして今回、初めて舞台に立つことになりました。役者として板の上に立つと、今までの自分の不勉強さが肌を突き刺すようで、悲鳴を上げたくなります。しかし、ここまで来て後戻りは出来ない、いや、する気もない、前進あるのみ!である。
 私は一身上の都合により今公演をもって帯広を離れなければなりません。板の上で皆さんにお会いできるのは最初で最後になる訳です。役者は精神の露出狂とも言われ、ある意味では変人でもあります。この変人に魅せられた者としては、とことん変人になり、自分ですら会ったことのない自分と対面 したいと考えています。そしてラストシーンで、朝の光よりも眩しく輝きながら死ねたなら…
 では舞台をお楽しみ下さい。またいつかお会い出来る日を夢見ながら…

山田 知子
 演研に入団して一年が経った。「演 研」と言えば、私が小学生の頃にポスターを見て憧れていた劇団である。正直言って戸惑いはかなりあった。「厳しいらしい」というウワサも耳にしていたし、短大時代に札幌で短期間お世話になっていた劇団とは全く別 の(というより札幌ではこういった形の芝居をしている劇団はないのだろうと思う)世界を持った劇団で、ついていけないのではという不安を抱いての入団だった。
 入団してから現在に至るまで先輩方には迷惑のかけ通しだが、暖かくも厳しく、かつ適切な御指導のお陰で、何とか舞台を踏めることになった。完成品とは呼べるようなものではないだろうが、何とか皆様と同じ空間を共に出来たら…と思う。
 本日は観に来て下さって、有り難う御座います。

富永 浩至
 私がまだ大学生だった頃、この本を上演した。この物語の男女の持つ焦りや苛立ち、怒りや哀しみが、多分若者の共感を呼ぶのだろう。新人がこの本を演りたいといってきた時、その当時の事が思い出された。就職する事と芝居を続ける事が自分の中で結びつかず、その狭間で悩み、揺れていたあの時期。芝居の「いろは」も分からず、ただ叫んでいたように思う。今思い返すと、顔から火の出る思いだ。
 今回の二人には、気持ちばかりが上滑りするのではなく、この芝居の中にうず巻く若者特有の感情を、しっかり自分の内側に引きつけて欲しい。そして、演じようとするのではなく、自分をさらけ出すこと。それができれば…と思う。

 

 

 ● 第28回公演へ

アンケートより

・感動して泣いてしまいました。(女性)

・やはり、少し演技に“かたさ”を感じました。一生懸命だからなのでしょうね。でも、今後も期待しています。(女性)

・男女のキャラクターが似すぎているように思いました。もう少し、一人が違うキャラクターの方がおもしろいのでは?新人さんということでしたが、とても練習されたのが伝わってきました。(女性)

・ラストシーンで女が男に歩みよる時、少し泣きが入っていたんでしょうか?声がふるえていたように感じました。もう少しハッキリすれば、その方がいいと思います。(女性)

・装置がなかったので“なんだろう”と思っていたのですが、ない方がかえっていいということもあるのですね。ラストの曲が印象的でした。(女性・短大生)

・はあっ。台本の内容がきつかったー。救いがありそうでないようで、最後にふたにのばされた手が切なかった。最後は何かわからんけど、涙が出そーになった。米蔵さん、お疲れさまでした。かっこよかったです。目をかっと開くと、野生って感じで、役に合っていたと思います。狭いのとかもあるのかもしれないけど、動きがワンパターンだったのが残念でした。山田さん、いつもと全然雰囲気違うからびっくりしたー。さすが役者さんですね。これからも頑張って下さい。(女性・大学生)

・全体に同じ調子に終始している感じ。時間の経過によって、二人の相手に対する思い、心理の変化がもっと出ていればよかった。二人がここに来てから死ぬ までの短い間に、「きらめいた何か」をすんなりと納得させて欲しかった。それがあれば二人の死をもっといたむことができたのに。(男性)

・とてもよく頑張っているなというのが伝わってきましたが、もう少し肩の力をぬ いてやると、もっとお客にも楽しめる余裕が出たのではないでしょうか。芝居に引き込まれて見ていましたが、全編通 してすこし疲れてしまいます。でもとてもよかったと思います。これからもよいものを見せて下さい。期待しています。(女性)

・追手の男の登場まで、引っ張りすぎたように思えました。銃声には驚かされた。(男性)

・とても感動しました。二人の生きている中でのつらかった部分に、心のきれいなところが全体を通 して感じることが出来ました。(女性)

 

トップへ戻る

第28回公演へ