第47回公演
隣にいても一人

作・平田オリザ
演出・片寄晴則

スタッフ
 照明 野口利香  効果 鈴木えりか  小道具 金田恵美  衣裳 館律子  会場 宇佐美亮 神山喜仁
 制作 村上祐子

キャスト
 柳原昇平・富永浩至  桜田すみえ・上村裕子  柳原春子・坪井志展  柳原義男・大塚洋(青年団)



つぶやき

坪井 志展
 大切な仲間と一緒に、小屋を喪った私たちですが、今また、自分たちの空間での芝居作りが現実のものとなりました。日々の稽古で互いの隙間を埋める作業を確実にしてゆきたいと思ってやってきました。こうして原点に立ち戻ったことにも、なんらかの力を感じています。十数年前はここで芝居をすることがあたりまえの事だったのに、今ではちょっと窮屈にも感じますが、すこしの間、私たちの愛する空間におつきあいください。終演後、たくさんの感想を聞かせていただければと思っています。

上村 裕子
 社会人一年生の時、どうしても演劇がやりたくて新聞社に電話をして、市内の演劇活動をしている集団を教えてもらった。その頃,まだ「演研」は「演劇研究会」だった。電話で対応してくれた人の話しによると「あそこはちょっと…アングラっていうか」「他とはちょっと違うようで…」とか今,思うとあまりよくわからない説明だったけれど、妙に興味を持った。初めて稽古を見学させてもらって…ちょっと異様な雰囲気に又又、興味を持った。
 「ここでやってみたい!」
そして、あの日から、二十年が経った。私の人生の価値観を大きく左右する劇団に出会えて、芝居と出会えて本当に幸福だと思う。
 「大通茶館」は、初舞台を踏ませてもらった大切な空間です。芝居の厳しさも充実感も自分と向き合うことも教えてもらった空間です。だから、本日の上演が何より嬉しい!どの空間で上演するより、客席との一体感が感じられる舞台です。一緒に作品を育てて下さる、客席の皆様に感謝します。

金田 恵美
 大塚さんを迎えての『隣にいても一人』が二年目に入りました。ずっと離れていたのに、すっと演研に溶け込んでいて不思議な感じがします。久しぶりに会うので、人見知りする私はどきどきしていたのですが、そんな心配無用でした。昨年の関係があってこそだなと思います。今回小道具の私は、自分でやらないと気がすまない性分なので、小道具の用意に集中している時が好きです。あと、本番中の裏にいること。舞台を見ることはできませんが、役者の声や息づかいを裏で感じながら小道具を用意する。一人で密かに楽しむ事ができる時間です。自分に何かしら役割が与えられている事、その事が嬉しいです。別に役割がなくたって、そこにいることを楽しめればそれで十分だと思うし、舞台を支えている一人であることに代わりはありません。 小道具を通して役者を支え、舞台を支える。今回はそのことを思う存分楽しみたいと思います。

野口 利香
 大通茶館で公演をすると聞いたとき、うれしいなと思ったと同時にどうやってやるんだ?とういう思いがあった。芝居小屋ができる前に、ずっと茶館で公演していたことは知っていたが、毎回の稽古で劇団員全員揃うと一杯になってしまうこの空間にどうやって舞台、舞台袖、客席、昭明音響ブースを作るのか。聞くところによると昔は五十人くらいは入ったという話だし。(どう考えても信じられない!)
 しかしもう経験できないと思っていた茶館での公演に参加できるのはとても幸せなことで、皆様も幸運なお客様であること間違いなしです。特にこの芝居は、何気ない会話のやり取りの中に微妙な心の揺れが見え隠れするところが面白いのですが、この小さくて不思議な空間でしか味わえないものがきっとあると思います。
 私もスタッフとして、今までに経験したことのない感覚を得られるだろうと期待に胸膨らましているところです。

宇佐美 亮
 自分が観客として演研の芝居を観ていた場所は常に演研芝居小屋でした。小屋はぼくが入ったのと入れ替わり取り壊され、それからはずっと比較的大きなところでやってきました。しかし今回は大通茶館での公演となります。狭いです。僕は茶館での公演を観たことはないのですが、息使いの感じることのできる小さな空間で濃縮された舞台になると思います。その中で僕が初めて芝居小屋に行ったときのような充実した時間を皆さんが過ごされることを願ってやまないのです。そういう僕も、今から、ワクワクして仕方が無いのですが…。

鈴木えりか
 入団して二年目、そして大通茶館での公演ははじめてとなります。芝居小屋ができるまでの間はここで公演を行っていたとのことですが、演研へ入団するまではこういう場所で公演をするという経験がないもので、未だに実感が湧きません。本番になると、いつも落ち着きのないわたしがさらにアタフタしてそうで怖い気もします。でも、うまくやろうとしてもなかなか出来ないものなので、楽しむ気持ちで参加していきたいと思います。ベテランの役者さん達、先輩団員さん達にくらいついて、たくさんの物を吸収していきたいと思います。

館 律子
 早いもので、私も入団して一年が経ちました。道東小劇場演劇祭も二回目の参加、大塚さんに来てもらっての稽古も二回目です。前回は初めて出会うものばかりで、何かあるごとにわくわくしていました。二年目の今年も楽しむのは当然ですが、ただ楽しいでは終わらないように、この機会から何かを学ぶぞと意気込んでいるところです。…なんて事を言いながら、東京公演という一生に一度あるかないかの出来事に、すでに冷静さを欠いてしまっている…そんな気がするのですが。今日から東京公演まで、楽しみながら走っていきたいものです。

神山 喜仁
 僕にとってすべてが初めての事だらけで、演研のみんなとはうまくなじめないでいた。演研はアットホームな感じで迎え入れてくれたが、天の邪鬼な僕は素直になれず、このままではまずいと思っていた。そんな僕を『やさしく』『きびしく』指導してくれる先輩達がいて先輩達のおかげで、少しずつではあるがとけ込めるようになってきた。
 そんな先輩達が舞台に立つことを知る。稽古を見るたび、演技の変化を感じながら本番が楽しみで僕もいつかは舞台に立ってやるとずうずうしいことを思いながら生活しています。僕も本番をお客さんと一緒に楽しみたいと思います。

富永 浩至
 思えばここ大通茶館が開店したとき、私はまだ大学生だった。その頃私は大学の演劇サークルに所属していた。ある日、後輩が、「今度高校の演劇部の先輩が喫茶店を開くのだけれど、そこを公演場所に使ってもいいと言っている」という話を持ってきた。早速、我々は格安の料金で借り、公演をうった。だから、演研が初めて持った拠点である大通茶館、そのこけら落としとも言うべき公演は、演研ではなく、実は私が所属していた演劇サークルだったのである。そして、それかきっかけで演研と親密な関係になり、私は大学を卒業後演研に入団することとなった。そういう意味からも、私にはとても思い出深い場所なのである。
 さて、今回も青年団より大塚洋氏を客演に招いている。一週目の稽古から「再演の舞台は、前やったことをなぞるような稽古をしてては駄目。新作をつくるつもりで臨まないと、決して前よりいいものにはならない」と叱咤され、刺激的な毎日を送っている。さらに高みを目指して、楽しい稽古の毎日である。(で、酒の量も少々増えたかな?)

 

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