第52回公演 創立30周年記念連続公演第3弾!
『楽屋』
作・清水邦夫
演出・片寄晴則

スタッフ
 照明 宇佐美亮  効果 神山喜仁  舞台監督 富永浩至  衣裳 村上祐子  制作 上村裕子

キャスト
 女優A 野口利香  女優 B 金田恵美  女優C 坪井志展  女優D 鈴木えりか



 

つぶやき

再び、女優Cを演ることになって…
坪井 志展
 『楽屋』は、私の初舞台だった。無我夢中で、稽古に喰らいついていたと思う(自分なりにだが・・・)。演出や周りの役者によって、どんどん変わってゆく自分を感じ、厳しかったが楽しかった事を覚えている。
 今、日常の生活をこなすなかで、劇団へ足をはこんでいると、その時だけは、女優をやっているような気がしていたが、こうやって女優の役に取り組んでみると、現実がみえる。『女優』…言葉だけでも重い、私には蓄積も自信もない!今まで何をしていたのだろう?20代の時は、考えもしなかった。今回の再演は、自分自身を振り返る良い機会にもなった。何も犠牲にはせず、周りに我慢してもらって突き進んできたと思う。温かい心で支えてくれているパートナーと1匹、そしてすべての方々に感謝している。何も迷いも無く楽しくて、楽しくて稽古場へ足を運んでいたあの頃の私が好きだが、今こうしてウジウジ悩んでいる自分も嫌じゃない気がしている。
 本日は、劇場に足を運んでいただき、ありがとうございました。

「楽屋」の再々演!!念願でした。
上村 裕子
 「楽屋初演」は入団前でした。「楽屋再演」は14年前。もうそんなに年月が経ったのかと今改めて思います。演研の歴史30年の中で、私がいるのは22年ですが、どれも思い出深いものばかりです。中でもこの「楽屋」は大好きな作品のひとつです。再演の時のメンバーは、今は私しか残っていませんが、あの時の4人の役者が出来る精一杯を舞台に乗せたのだと思っています。そして今回の「再々演」。稽古が進む中で、役者4人がとってもイイ顔になって来ました。人は好きな事をしている時、充実している時に本当にイイ顔になりますね。そんな4人を見てもらいたかった。情熱だけでは芝居活動は続けられない。好きだけでは困難な現実に立ち向かえない。好きであることは大前提だけれど、共に進もうとする仲間がいてこそ続けていける、頑張ることが出来る、と改めて思います。
 会場に足を運んで下さり、ありがとうございます。お客様に観て頂けることが本当に我々の支えになっています。

野口 利香
 5月の「夫婦善哉」公演が終わってすぐに「楽屋」稽古が始まりました。それでも2ヶ月弱という短い稽古期間で芝居を作らなければならないという状況の中、辛さも楽しさもじっくり味わう余裕もありませんでした。「私はやっと立っているの精も根も尽き果てて・・・」まさにそんな感じです。でも、この密度の濃い稽古期間が終わってしまうのは寂しい気もするし、でも体は休めたいしと、複雑な気持ちです。
 これから公演までの最後の1週間を迎えます。本当に精も根も尽き果てるくらいに頑張ることができたら、それはとても幸せなこと。
 これは女優の話です。なぜ彼女らは女優になりたがるのか。その答えをこの舞台でほんの少しでも感じられたらいいなと思います。

金田 恵美
 やってみたいと言い出したのは自分だけど、稽古期間が短いのは正直大変でした。稽古が進めば進むほど、もっと時間をかけてこの作品と付き合っていきたい気持ちが膨らみます。とにかく言われたことを身に付けていくことに追われ続け、振り落とされないようにしがみつき、少しでも上を目指したいその気持ちで前だけ見て頑張ってきました。演研としては少ない2回公演、悔いは残るかもしれないけど、舞台を楽しみたいです。

宇佐美 亮
 ときどき風の音が聞こえる。頭の中のかすかな気体の動きはあるいは気のせいに過ぎないのかもしれない。
 前回の「夫婦善哉」に引き続き、今回の「楽屋」でも照明をさせていただいている。音や役者の心情、芝居の流れに合わせなくてはならない照明の操作は、自分で精一杯な私の苦手とするところではあるが、自分の手が舞台を造る一つとなるのは喜びである。
 私が入ってからの演研の演目がほとんど平田オリザ氏のものであったこともあり、清水邦夫氏の芝居に素直に入り込めない部分もあるが、情念、執念、狂気から人間を炙り出していく同氏の作品はすばらしい。本日来て頂いたお客様にもこの芝居の世界、そしてそれを体現しようとする役者の息使いを少しでも感じていただけると幸いである。
 かつて嵐が吹き荒れた若かりし日の記憶は、色あせ、月日の流れとともに忘れ去られてしまった。今一度、自分の中のかすかな流れに耳を傾けたい。やがて嵐とならんことを。

鈴木えりか
 今年は演研の創立30周年。そんな大事な年に演研の芝居に出られるとは!キャストに選ばれたときは、すっごくうれしかった。実際稽古に入ると、この本の深いところがたくさん見えてくるんだけども、それが自然に体から出てこなくて最初はそれがもどかしかった。これまで2回舞台に立っているけど、いつもこのパターンに陥ってるのです。周りも見えなくなって、「私はダメなやつだー」なんて思いこんでしまいます。思い込みの激しいところは女優Dとの共通点かなァとは思いますが・・・。
 本番では深く考え過ぎずに、素直な気持ちで臨みたいです。

神山 喜仁
 演研創立30周年記念連続公演も、いよいよ第3弾です。仕事と芝居をしている私たちは体力的に限界に近いところにいます。しかし、好きなことをこんなにも満喫できるのはとても幸せなことなので、弱音も吐かずがんばれます。
 今回の芝居では効果担当になりました。自分の中のイメージでは、あっ余裕じゃんと思ったのですが、いざやってみるととても奥が深い。当初は器材を思い通りに扱えず、焦りがつのり失敗を繰り返していました。稽古を重ねる中で、周りからもアドバイスを貰い、今は何かを掴みかけている、そんな状況です。本番では役者たちを支える存在になりたいと思い、頑張る毎日です。

富永 浩至
 23年前、私はまだ大学生で、演劇サークルに所属していた。その演劇部の学外公演を大通茶館でやらせてもらった縁もあり、演研にはずいぶんとお世話になっていた。初演の「楽屋」も観客というより、お手伝いとして観せてもらったことを覚えている。
 大通茶館で行われたその公演は、当時はそれが当たり前のように思っていたが、桟敷やベンチ席に観客がぎゅうぎゅうに詰められていた。しかし、その窮屈な状態がかえって、一つの劇的な高揚感を醸し出していたようにも思える。そんな熱気が会場全体を包むなか、一番後ろの立ち席でお客さんの頭の間から観ていた私は、同じく二十代そこそこの彼女たちが演じる女優に見入り、胸を熱くしていた。終幕近くの場面では、もっとよく観たいという思いから、茶館に並べてある本棚に思わず足をかけ、板を踏み抜いてしまった。
 いろんな思い出のある楽屋だが、今回はどんな思い出を残してくれるだろうか?

 

 

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