坪井 志展
離婚届の用紙をもらいに市役所の窓口へ行きました。
「協議離婚ですか?」「え?…はい」(何言ってんの私)「離婚後、苗字は変わりますか?」「いいえ」(またまた、何言ってんの私)「離婚後は、住民票以外の所に住みますか?」「いいえ」(またまたまた、何言ってんの私)「帯広市以外の所で届けを提出する場合には、住民票を添付してください」「はい。」(え!提出?)芝居の小道具だとは言えずに、ホントに離婚するような気がして、神妙な顔をして袋に入った届出用紙を抱え役所を出ました。窓口のお姉さんごめんなさい。
『紙一枚』を貰うだけでものすごくドキドキして、離婚って?結婚って?なんだろう等々考えた。何気なく見過ごしていることが、時として自分の人生を変えるほどの出来事になってしまう事があるだろうなぁ。
私が、考えた結果は、こうして芝居を続けさせてくれている家族に感謝、感謝です。
本日は、新たな演研の第一歩になるだろう作品をともに経験していただき、誠にありがとうございます。
上村 裕子
ご来場ありがとうございます。公演でしかお会いできない人達がたくさんいます。我々のチケット販売は手売りが多いので、当然お客様は自分達の友人、知人が多くなります。自分が出る出ないにかかわらず『演研の芝居』を楽しみに足を運んでくれることにいつも感謝しています。そして、公演の度に来て下さっているお客様は「今回も来て下さった」と再会がとても嬉しく、また初めてのお客様は「ようこそ、私たちの空間へ」と出会いが嬉しいです。
そういえば、以前「人間ドック」を受けに行った病院で「演研の方ですよね」と声をかけられ、恥ずかしかったけれど、とても嬉しかった思い出があります。確か団員の友人の友人だったような…、人とのつながりはこうして広がって行くのですね。
さて、今回は「やれたら面白いだろうな」「やってみたいよね」「本当にやるの?」と思っていた作品です。諸般の事情で殆ど稽古に参加できずにいる不甲斐ない私ですが、少人数の団員で日々の稽古を積み重ね、ここまで来ました。演劇はいつも体力勝負的な要素が強いですが、今回は動きが多い分、更なる体力が必要です。どうぞ、演研版「表に出ろぃ!」を存分にお楽しみ下さい。
本日のご来場、誠にありがとうございます。
野口 利香
私は人と関わることが、あまり得意ではありません。社会生活を営むためには、多くの人と関わらなければならないのですが、どうも距離感がつかめないというか、近づきすぎると遠ざかってしまいたくなるというか……。かと言って、ネット上で顔も知らない人と交流なんてことは、もっと「ありえない」ことなのですが。
そんな私が、人と濃密に関わる作業である芝居をやっているのだからわからないものです。
さて、今回の作品「表に出ろいっ!」の登場人物は家族ですが、それぞれ腹の中に何か隠し持っているらしい。家族に対し秘密を持つことは珍しくないことですが、それがとんでもない方向に行ってしまうと……。
初めての野田秀樹作品で今までにないハイテンション!しかも夏の公演。熱いステージ間違いなしです。舞台上で繰り広げられる荒唐無稽なやりとりから、何かを垣間見ていただけたら幸いです。
本日はご来場ありがとうございます。思う存分お楽しみください。
金田 恵美
気付けば七月。月日が経つのは早いものです。歳を重ねる毎に一年過ぎるのが早くなってきている気がします。特に何かをしているわけでもないのですが、不思議な感覚です。さて、この半年何をしていたかというと、仕事と稽古、時々ゴロリ。この『時々』が最近は『頻繁』に変わりつつあります。以前に比べて体力のなさを感じています。演研の中では若手ではありますが、実際の年齢は決して若くはありません。今回の役も、自分自身はそんなギャップに少し悩みました。どんなに頑張っても、今の若い子には到底及ばない。ギリギリまで足掻くつもりではありますが…。せめて気持ちだけはいつまでも若くと思いつつも、夕方の鏡に映るのは疲れた顔。今日もドリンク片手に稽古場へ向かいます。そんな自分は皆様の目にどのように映りますでしょうか。
演研初の野田作品。私が演研に入団してから割と静かな作品が多かったので、ここまで動きのある作品は久しぶりなのだと思います。ぜひとも忌憚のない感想をお聞かせ下さい。
本日はご来場頂き、誠に有り難うございました。
富永 浩至
能楽師の夫と妻がいる。
夫は「隅田川」のおさらいをしている。
「表に出ろいっ!」の冒頭のト書きです。「能楽」に全く疎い私は、「隅田川」って?というところから、今回の役づくりは始まりました。
「隅田川のほとりで渡し守が客を待っていると、人買いにさらわれた我が子を求めて、物狂いの女が現われます。渡し守は、ちょうど一年前の今日、人買いに捨てられこの地で死んだ少年の物語を聞かせます。
我が子の死を知り泣き伏す母を、渡し守は、少年の眠る塚へと案内します。母が念仏を唱えると塚の中から我が子の声が聞こえ、いとしい我が子の霊が姿を現わしますが、それも束の間、駆け寄る母の手から、子は幻と消え、跡にはただ草ぼうぼうの塚だけが残っているのでした。」というのが、そのあらすじ。
戯曲の書き手がいない我が劇団は、創立当初から様々な作家をとり上げ、上演してきましたが、ここ最近は平田オリザ氏の作品がその中心となっていました。駒場で育った平田氏は、野田秀樹の「夢の遊民社」に影響を受け、初期にはあのようなスピーディな作品を創っていたというのですが、いやいや今とは全く違います。で、今回はその全く違う野田秀樹の作品に初挑戦です。
初めての野田作品しかも能楽師役と、当初は戸惑いのためなのかなかなか進まずに、大いに苦しみました。そしてその悪戦苦闘は今もまだ続いています。しかし、それを含めたところで舞台上で遊ぶことが出来たならば、お客様にも楽しんでいただけるものに、きっとなると信じ、日々稽古に励んでおります。