今回のゲストは、ごるじさんです。「ごるじ」は、その昔あったパソコン通信(ニフティーサーブ)でのハンドルネーム(ペンネーム)です。パソコン通信の演劇フォーラムで富永と知り合ったことがキッカケで、演研の芝居を観てくれるようになりました。当時は旭川の大学生でした。
富永:最初にうちの劇団を知ったのはどうしてか、覚えています?
ごるじさん:ニフティの演劇フォーラム(※)のオフ会で、あれ「朝日のような夕日を連れて」でしたっけ。
(※パソコン通信の最大手。様々なフォーラム(会議室)があり、演劇フォーラムはその一つ。当時、第三舞台の小須田康人さんがシスオペと呼ばれる仕切り役をしていました。)
富永:はい。
ごるじさん:それで、札幌で会ったのが最初ですね。
富永:「朝日に・・・」は、札幌で2回やっているんですよ。札幌本多小劇場と道新ホールと。
ごるじさん:道新ホールのときですね。本多はもう無かったです。
※ニフティの演劇フォーラムのオフ会。写真左のお二人は淡路島からと東京から、右のお二人は札幌、中央の二人は帯広からと旭川からの参加です。
富永:その時はまだ学生でしたか?旭川の、
ごるじさん:はい、学生でしたね。それで三崎さん(※)が、札幌まで遠征するから、オフ会をしましょうってことで、小須田さんもちょっと顔出せるからって言って。
(※三崎さん、上の写真左の方です。地域演劇の会議室のまとめ役でした。)
富永:その時の写真あります。
※はい、これです。前列左が第三舞台の小須田康人さん。
ごるじさん:それ、僕いました?その時用事があって、遅れて行ったんで小須田さんに会っていないんですよ。
富永:あ、そうですか。
ごるじさん: その後に、開演前か終演後に会ったんですよ。
富永:ああ、そうですか。なんか記憶が曖昧になっていますね。でも、ニフティの演劇フォーラムに入ったのはなぜですか?
ごるじさん:そもそも演劇を観るようになったのは、昔、鴻上尚史の深夜ラジオを聞いていて、この人面白いなって思っていたら、たまたま「天使は瞳を閉じて」を近鉄小劇場でやっていて、
富永:その時は京都の大学生だったんですか?
ごるじさん:そうです。それで当日券買って、観たんですけど、それがかなり面白かったので、ハマりました。
富永:はー、なるほど。
ごるじさん:それまでは、小学校で道徳の押しつけみたいな演劇を観せられて、一生芝居なんか観ないなって、思っていたんです。(笑い)
富永:学校の演劇鑑賞ですね。
ごるじさん:強制されて、見せられた、あのつまらなさのイメージですよ。(笑い)
富永:それから観るようになったんですか?
ごるじさん:そうですね。
富永:大阪は小劇場盛んですよね。
ごるじさん:そうですね、新感線が凄かったですね。ピスタチオとか。
富永:はいはい、惑星ピスタチオ。
ごるじさん:あと、中島らもの所。
富永:あ、リリパットアーミー。結構いっぱいありましたね。それから旭川に来て、そんなに劇団は無いですよね。
ごるじさん:そうですね。まだインターネットも発達していない時代でしたから、情報も無かったですから、パソコン通信で札幌の人から情報をもらって。
富永:札幌へは観に行っていたんですか?
ごるじさん:情報が入って、行けたら行くって感じでしたね。ステージガイドとかも、ほとんど演劇のページとかなかった時代ですから。(笑い)
富永:そうですよね。で、オフ会で初めて会って、それからうちの芝居を観に来てもらったんですね。
ごるじさん:それで帯広で芝居をやってるって話を聞いて、
富永:よく来たよね、でも。(笑い)
ごるじさん:正直、全く期待はしてなかったです。北海道で演劇かいって思ってましたから。(笑い)
富永:だよね。(笑い)なんですか最初に観たの?
ごるじさん:「あなたがわかったと言うまで」
富永:あ、あ、そうですか。
※1997年、「あなたがわかったと言うまで」、演研芝居小屋にて。赤羽美佳子と富永浩至。
ごるじさん:芝居小屋があって。よく作ったなと思いました。
富永:そうだよね、よく遠くから来てくれましたって、なるよね。
ごるじさん:そうですね、それで声かけてもらって。やっぱりすごく面白かったので、
富永:ああ、ありがとうございます。
ごるじさん:最初が外れてたら、もう観に来てませんよ。
富永:そうですか。(笑い)
ごるじさん:それで次も観たいと思って、
富永:あのころ、毎回観に来る度に、違う彼女を連れてくるって、劇団の中では話題になってました。(笑い)
ごるじさん:ああ、そういう時代もありましたね。(笑い)
富永:必ず誰か連れてきてくれましたね。三人で来たこともあったし。
ごるじさん:そうですね。一人で来ると道中暇なんで。
富永:そうか、2時間、3時間ぐらいかかるか。
ごるじさん:3時間以上かかりましたね。狩勝峠を通ってきましたけど、結構遠いですね。
富永:最初が「あなたがわかったと言うまで」で、その後はだいたい観てますよね。
ごるじさん:だいたい観てますけど、キーになる作品を観てないんですよね。
富永:え、何?
ごるじさん: 30周年のときの「いち・ご白書」。悔やまれるんですけど。何か用事があって来れなかったんですよ。
富永:そうですか。
※2005年、30周年記念公演、鐘下辰男新作書き下ろし「いち・ご白書」、メガストーンにて。富永、坪井、上村の3人。
ごるじさん:泊まらせてもらったこともありますよ。「走りながら眠れ」のとき、
富永: あ、坪井が帯広に帰ってきた年ですね。
ごるじさん:暑い日で、
富永:ああ、あの頃、打ち上げの時に中村さん(※)とごるじさんで、交代で坪井番とか言ってたね。(笑い)
(※中村聡さん、劇団動物園の元代表。)
ごるじさん:その始まりがその頃ですね。(笑い)あ、「恋愛日記」も覚えてますね。佐久間さんがはまり役だったという。
富永:はい、あれは、ニフティの全国縦断FSTAGE演劇祭(※)というのに参加した作品ですね。この辺りは、まだニフティのフォーラムは盛り上がってたよ。
(※シアターフォーラムの10周年記念イベントです。その時のことはこちらに残っています。http://mcri21.com/sp/fst/engekisai/index.htm)
※第30回公演、第38回公演(再演)「恋愛日記」、演研芝居小屋にて。スズキ役の佐久間孝。
ごるじさん:そうですね。でも段々インターネットに移行している時期ですね。
富永:そうでした。
ごるじさん:苫小牧にも行ったような気がするな。
富永:「走りながら眠れ」は苫小牧公演してますね、平田オリザさんが観に来てくれました。
ごるじさん:じゃあ違うかな。オリザさんには会ってないので。
富永:別の日に来たんじゃないですか。あ、平田さんは初演の「思い出せない夢のいくつか」も観に来てくれましたよ。
※2000年「走りながら眠れ」苫小牧公演の打ち上げで。これも演劇フォーラムのオフ会になりましたね。ハンドルネームを書いておきましょう。なまちゃん、ふとがみさん、三崎さん、ごるじさんです。富永は本名を使っていました。
ごるじさん:それはオリザさんがいない日に観てますね。オリザさんと会ったのは、幕別での青年団公演の時に、打ち上げに参加した時ですから。バーベキューをやってました。
富永:はい、はい。「カガクするココロ」の時ですね。あれは伝説の打ち上げでした。(笑い)
ごるじさん:はい。で、第1回目の演劇祭は観てますね。
富永:ゲストが鐘下辰男さんの時ですね。2回目は坂手洋二さん。
ごるじさん:その時は行ってないですね。
富永:で、3回目は・・・、あ、東京に来てましたね。
ごるじさん:ええ、その時は旭川のスガイディノスがオープンして、そのボーリング大会があって、で、とび賞でエアドゥの東京行きのチケットが当たったからですね。(若い)
富永:マジですか?!(笑い)
※2003年、道東小劇場演劇祭 in アゴラ。こまばアゴラ劇場の客席の様子。
ごるじさん:それはもう、はっきり覚えてますね。その時に初めてアゴラ劇場に行きました。釧路は行けてないんですよね。
富永:釧路は大変でした。ちょうど地震があったときで、大久保が前日釧路に入ろうとしたんだけども、国道が通行止めで、ぐるっと迂回して行ったって言ってました。
ごるじさん:そうですか。ゲストが木野花だから行きたかったんだけど。
富永:東京にも観に来ましたよ。北芸の芝居が気に入って、大絶賛してましたから。2日間来て、打ち上げにも残っていきました。
ごるじさん:ちらっと顔を見たような気が。
富永:で、北芸を観て、動物園を観て、うちらの芝居だけ観ないで帰ったの。どうしてーって。(笑い)
ごるじさん:そうですか。(笑い)
富永:木野さんは、平田オリザの芝居が好きじゃないんだーって。(笑い)
※第3回道東小劇場演劇祭、釧路・波止場の芝居小屋にて。動物園「こころゆくまで。」終了後のアフタートーク。左から大久保真さん(司会)、木野花さん、中村聡(劇団動物園)さん。
ごるじさん:あれ、佐久間さんが亡くなったのは何年ですか?
富永:2001年ですね。この年は芝居小屋も無くなったし、だから演劇祭をよくやったなと思って、
ごるじさん:片寄さんが本当に落ち込んでて、これはきっとやめるのかなって、思った。
富永:あ、そう。え、それはどこで、演劇祭の打ち上げで?
ごるじさん:いえ、あの、お葬式に声かけてもらって、
富永:ああ、お葬式来たんだ。え、その後、ここ(大通茶館)にいました?
ごるじさん:いましたよ。
富永:そうですか。あの時は皆で思い出話をして、笑いながらボロボロ泣いてたよね。
ごるじさん:あの時、新潟から、
富永:あ、米蔵(※)?
(※福崎米蔵、新潟出身。畜大生の時に入団、第27回公演「朝に死す」まで在籍。)
ごるじさん:ええ、それで、2人で上の部屋に、あれ、そこもう無いんですか?
富永:え、だから工房。
ごるじさん:ああ、そうですね、舞台になってますね。(笑い)(「30周年のあゆみ」を見て)これは、誰出ていましたっけ?
富永:「救いの猫・ロリータはいま・・・」は新人お披露目公演で、金田が初舞台で、宇佐美と館が出てましたね。
ごるじさん:同時期に旭川の劇団が同じ芝居をやってて、向こうの方がベテランでしたが、こっちの方が面白かった。あれ、一緒に観ませんでしたか?
富永:いや、僕は行ってないけど、他の人たちは行ったかもしれないですね。
ごるじさん:あの時は松本君(※)もいて、中村さんもいて。皆で観ました。
(※松本大悟さん、北見・劇団動物園の代表。)
※2003年、第46回公演「救いの猫・ロリータはいま・・・」、ライブホール・メガストーンにて。あすか役の坪井志展。
富永:そうですか。本当にいろいろ観てもらってますが、印象に残ってる芝居は何ですか?
ごるじさん:やっぱり「隣にいても一人」の初演ですね。平田さんが書いてくれたってことに、ビックリしました。
富永:いや、僕もビックリしたも。(笑い)
ごるじさん:しかも当て書きで。このネタは分かる人にしか分からないんじゃっていうものもありましたし。(笑い)
富永:そうですよね。95年に帯広でワークショップやって、仲良くなって。何かの飲み会だと思うけど、居酒屋の2階で「平田さん、書いてくれないんですか?」って頼んで、あれ何の飲み会だったのかな?
ごるじさん:そのとき私いましたよ。
富永:え、いた!?何かの打ち上げ?
ごるじさん:公演じゃなくて、ワークショップじゃないですか?
富永:あ、あ、幕別でやったワークショップの打ち上げか。え、いたんだ、あの時。
ごるじさん:佐久間さんと同じグループで、コンビニの話を作りました。
富永:え、じゃあ、え、なんで?
ごるじさん:なんか見学したいって問い合わせたら、参加しなさいって言われて。
富永:それじゃあ、僕も同じグループでしたよ。佐久間さんがコンビニの店長で、トイレに入ってなかなか出て来なかったって、話でしょ?
ごるじさん:ええ。(笑い)
富永:ああ、その時の打ち上げで居酒屋へ行ったんだ。
ごるじさん:お金では書けませんって、やんわり断られたんだよね。
富永:そうそう。でも、その後、「ところで何人出るの?」って言われたから、えー!書いてくれるの!!って思ったんだよね。で、次の年の「カガクするココロ」の幕別公演の時に、出来ましたって、フロッピーを渡されたの。
ごるじさん:フロッピーの時代ですか。
富永:そうそう、で、明日の朝、時間があるから読み合わせしますかって言われて、初読みをしたんだよね、作者の前で。皆、ガッチガチに緊張したね。(笑い)
ごるじさん:そうですか。(笑い)
※2000年、「隣にいても一人」、初演の舞台にかけつけてくれた平田オリザさんとひらたよーこさん。
富永:でも、ごるじさんは佐久間ファンだなって、感じでしたね。
ごるじさん:そうですね。あの芸風は好きでした。
富永:ね。「恋愛日記」とかの、佐久間は面白かったし。
ごるじさん:佐久間さんが亡くなったのは、やっぱり劇的な出来事でしたね。こんなことがあるんだって。
富永:そうですね。劇団にとっても大きな出来事でした・・・。最後になりますが、これからの演研に何か期待することってありますか?
ごるじさん:やっぱり続けて欲しいですね。一番難しいのは代替わりでしょうね。そこを上手くやって続けて欲しいです。代表もいろいろと考えてらっしゃるようですけど。
富永:あ、言ってました?
ごるじさん:さすがに、すっぱりやめるってことは出来ないでしょうから。
富永:そうですよね。これでやめたら、片寄も寂しくて寝られないですよね。皆何やってるか気になるだろうし。(笑い)今日はどうもありがとうございました。
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