清水邦夫作「楽屋」は次のように始まり、次のように終わります。
>1
>闇。
>なつかしい音楽がはじまると同時に、数枚の鏡がぎらぎら光を放ちはじめる。鏡がささやく。
>「・・・日々のいのちの営みがときにあなたを欺いたとて、悲しみを又いきどおりを抱かないで欲しい。
>悲しい日々には心をおだやかに保てば、きっとふたたびよろこびの日が訪れようから。
>・・・こころはいつもゆくすえのなかに生きる。いまあるものはすずろに淋しい思いを呼び、
>ひとの世のなべてのものは、束の間に流れ去る。そして、流れ去るものはやがてなつかしいものへ・・・」
>4
>すでに楽屋は闇の中にとざされてしまっている。
>と、微かな月光のなかに草野原が浮かぶ。
>草野原に、墓標のように立つ、無数の鏡たち。
>鏡がつぶやく。
>「はなやかな町・・・
>まずしい都・・・
>囚われのこころ・・・
>あでやかなる姿・・・
>あでやかなる姿・・・」
さて、大久保氏が撮ってくれた写真です。どうぞ。
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