「片づけたい女たち」アフタートーク

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14日(土)の本番後に行なわれたアフタートークの様子です。(編集、抜粋しています。)


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富永:ありがとうございます。今日の出演者と私、演出を担当しました富永です。よろしくお願いします。

挨拶でも話しましたが、今年は創立40周年なので、何かやろうと春先から劇団内で話していまして、
12月に、えっと「ラブ・レターズ」という男女2人の朗読劇があるのですが、「パルコ劇場」で今もやっているので、これは多分上演許可がおりないんです。
でも、一応問い合わせてみたら、無料だったら上演してもいいんじゃないかということだったで、じゃあ、12月に40周年で観続けてくれているお客様に無料公演をしましょうかという話をしていたんです。
ですが、パンフの後にも書いてありますように、北海道文化財団から札幌で公演をしませんか、というお話をいただきまして、それがとても条件が良かったものですから2月に札幌公演をすることになりまして、そうすると稽古をしなければならないので、12月は出来ないねという話になりました。
でも、せっかくの記念ですから、何か出来ないかということで急遽、こういう形でアフタートークをすることになりましたが、それでですね、え、私ばっかりしゃべってていいですか?

出演者たち:いいですよ。(笑い)


富永:はい、すみません。(笑い)えーと、うちの劇団は書き手がいないので、毎回毎回いろいろな既成の本を読んだり、取り寄せたりして、そこから作品を選ぶんですが、今回、候補作が2本ありまして、ちょうど、どちらをやるか決めるという日に、私、稽古を休んだんですよ。
まあ、皆がやるっていたものに、私は従いますっていうことだったんですが、多分、この作品は選ばないだろうと思っていたんです、内心。
ご覧になったからお分かりでしょうが、デザイナーズ・マンションっていうセリフが何回も出てくるんです。
無理でしょ、ここでデザイナーズ・マンションは!(笑い)っていうのが一つありまして、で、しかも台本の指定では、対面キッチンで、ホンの中ではキッチンが見えるところにあるんです。
今日は奥の方でしゃべってましたが、本当は見えているところでしゃべっているんです。
そういうことを考えると、ここに対面キッチンをつくったり、デザイナーズ・マンションに見えるようなセットを組むというのは無理だから、この人たちはこの芝居を選ばないと思っていたんです。
ですが、このホンに決まったと連絡が来ました・・・。
でも、あ、私は演出を担当したんですが、このホンを彼女たちがやりたいと言って決まったので、ちょっと気が楽なところがありまして、それは、自分がやりたいと言って決めると、全責任を負ったような気持ちになるので、その点ではちょっと気が楽でした。
私ばかりしゃべっていてもあれなんで、では、なぜ、こんなセットをつくるのが大変な芝居を選んだのか、一人ずつ聞いていきたいと思います。(笑い)
では、こちら(上村)から。

上村:いや、野口さんから。

野口:え、そうですか、はい。(登場人物が)50代の女性3人ということで、自分も歳が近いということもあって、いろんな事が自分にも当てはまるので、「ツンコ」は仕事を続けているんですが、自分の続けていて、この歳まで続けているといろいろある訳です。
その辺の共通部分もあって、親近感のあるホンだったので選びました。この部屋の事を考えると途方もないなと思ったんですが。
はい、そういう感じで選びました。



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富永:はい。では、次の人。

坪井:私は「心のパンツが脱げちゃった」っていうセリフが、とても印象的で、もう大人だから言っちゃいけない事とか分かっているはずなのに、友達というか、気を許した仲間だからこそ、さらけ出すみたいな、ある程度の年齢の時に、そばにそういう友がいるというのがとても素敵だなと思いました。
それで選びました。まあ、「パンツ脱げちゃう」というのが、ただ単に面白いということもありますが、そこがすごい好きです。

富永:でもあなたはその「パンツ脱げちゃった」というセリフの役(バツミ)になるかは、

坪井:いや、分からなかった、分からなかった。

富永:私の役はこれだとは思ってなかった?

坪井:私はね、・・・一生懸命働くおチョビかな。

上村:えーっ。

富永:そのキャスティングはない、ない。(笑い)

坪井:ないか。(笑い)

上村:私も、脚本を読んだ時に、50代で、自分たちに身近だねっていう芝居は今までになくって、すごくタイムリーに出来るんじゃないかと思って、すごく面白いし、それでやりたいと思ったんですね。そうしたら意外と大変で・・・、般若心経もあるし・・・・、でした。

富永:これ、本当大変で、(笑い)愚痴みたくなっちゃうんですが。
最初はだいたいこの辺に燃えるゴミと燃えないゴミを散らかしといて、ってやってたんですけども、稽古をやればやるほど、セリフを間違ったり、なんかつっかえるんですよ。なんでかというと毎回、ゴミが違うんですよ、落ちているゴミが。役者って毎回同じ事をやるんですが、このセリフの時にこのゴミを拾うとか。
それが毎回違うゴミだと、あ、違うなというのが頭の回路に入るらしくって、そうすると「あれ、なんだろう?」ってなって、セリフがとんだり抜けたりするというのが分かって。
その後、ゴミのリストを書き出して、百何個かあるんですが、それを書き出して、ここにはこれって、そして拾う人が置なさいって。それでなんとかなったというか、大変でした。
さっき、キャスティングの話がちょっと出ましたけど、私の中では「おチョビ」はすぐに上村で、坪井も「バツミ」とイメージが合ったんでけど、あと野口の「ツンコ」が一番大変かなって思いました。
どうでしたか?

野口:大変でした。(笑い)まあ、「ツンコ」だからっていう訳でもなく、まあ、「ツンコ」は比較的というか、全然片づけないので、ゴミが違っているとか、それはあまり関係がなかったんですが、ただ後半で「ツンコ」が抱えている諸々のことが分かってきて、そういうことがあってこの部屋の状態(散らかっている)があるという状況なんですけど。
それが精神的にどんな状態なのかが、最初分からなくて。
それとセリフが膨大で、こんなにセリフの多いものはやったことがなかったので。

富永:まあ、演研の作品としては長いですね。

野口:平田オリザとかは「ああ」とか「ええ」とかが多くて。(笑い)

富永:「・・・」とかも多いしね。

野口:今回は長いセリフが多くて。セリフが入らなくて入らなくて苦労しました。なぜか言いにくい言葉が多くて。・・・。はい、以上です。

富永:はい。(笑い)でも、野口は本番に近づくにつれて、だんだん「ツンコ」像が出来てきて面白かったです。最初、あまりにも出来てなかったからかな。(笑い)
えっとですね。この工房は昔、アパートでして、舞台部分と客席部分と楽屋部分と、それぞれ部屋だったんです。で、私、学生時代ここに住んでまして。で、ベランダは元からあったんですが、工房にする時に、ベランダをふさいで壁にしたんです。
で、ベランダがあったのは分かってましたから、この芝居が出来ないことはないと思ったんです。
多分ベランダがなかったらやらなかったと思うんです。素人がノコギリで壁を切ったので、(カーテンをめくって)端の方はガタガタしています。(笑い)
カーテンで隠しているんですが。

坪井:この壁も全部壁紙を貼ったんです。

会場:へー。これ、はがすんですか?

富永:はい、それがまた大変だと思うんですが。また壁もつくらなければならないんです。

坪井:我が家のカーテンレールです。

会場:ガラスは入っているんですか?

富永:ああ、これはガラスではなくて、何ていうのかな、塩化ビニール?、プラスティックです。(叩いてみて)

会場:ああー。ベランダは外ですか?

坪井:暗幕が張ってあるんです。昼の公演もあるので。

富永:そうです。外から見ていただければ分かるんですが、黒いパネルを立てて、ふさいで、内側から暗幕を張っているんです。

会場:あー、そうなんだ。

富永:はい。苦労話でした。(笑い)


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富永:他に何か質問などあれば。

会場:電話は本物ですか?

富永:はい、本物です。狭い会場なので、なんとか本物の電話を鳴らせないかと思ったんですが、まあ、気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、内線の呼び出しなんです。
まあ電話の呼び出し音もいろいろあるから、いいかなと思って。
一つダメなのは、内線が20秒で切れちゃうんですよ。ですから、舞台袖で切れたらスタッフがまたすぐ鳴らすということをしてました。

会場:ほとんどみんな私物なんですか?

富永:そうですね。

会場:それ(エアロバイク)も私物なんですか?

富永:ああ、これね。これがなかったらやらなかった。(笑い)

野口:たまたま家にあったんで。

上村:買えないよね、って言ってたんです。そしたら、野口があるよって。

富永:坪井のところにもあったんだよね。

上村:えーって、何人も団員がいないのに2台もあるのって?!

会場:一番最初の話の決まらなかったもう一本の方が気になるんですが。

坪井:それはいつかやると思いますので。

富永:これも大変な芝居なんですよ。まあ、それは、

坪井:いつかやると思いますので、楽しみにしていて下さい。

富永:あと、皆さん(出演者)は言い足りないことないですか?
何か、大変苦労したという愚痴の話になってしまいましたが、時間もきましたので、この辺で終わらせていただきます。

一同:ありがとうございました。






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