第33回公演
ラヴ・レターズ
演出・片寄晴則

 

スタッフ
効果 片寄晴則  照明 福澤和香子  衣裳 赤羽美佳子  舞台監督 富永浩至  制作 村上祐子

キャスト
佐久間孝  上村裕子

とき
1997年10月10日(金)開演午後6時 11日(土)開演午後8時 12日(日)開演午後2時 午後6時 
18日(土)開演午後8時 19日(日)開演午後2時 午後6時
ところ
演研芝居小屋(帯広市西2条南17丁目)
前売り1000円  当日1200円  (コーヒー券付き)

●上演パンフレットより

 

再演にあたって

片寄 晴則
 この作品は一九九一年の初演後、初の出立て公演として釧路で上演し、同じ年の秋に再度帯広で上演した、我々のレパートリーの中でも、最も人気の高い作品のひとつです。創立以来、役者の勢いや演出の自己主張、あるいは女の情念といったものを頼りに演じ続けて来た我々が、初めて大人の愛の物語に挑戦し、以後、レパートリー選定に少し幅がもてるようになった、集団にとってターニング・ポイントとなった作品でもあります。
 今回、初演の富永浩至からバトンタッチされて、佐久間孝が挑戦します。受けて立つ上村裕子は、二年振りに、そして、結婚後、初の舞台に、初演時より更に深みを増した女性を演ずるべく稽古を重ねております。前回とはまた違った味わいの舞台をお届けできればと思っております。秋の一夜、皆様の心に残る作品になるよう、今夜も稽古に励んでいます。


つ ぶ や き

堅い話で恐縮ですが
佐久間 孝
 今年も残すところ、2ヶ月余りとなりました。
 松田聖子の離婚(1月)を手始めに、女優(?)上村裕子の結婚(2月)、動燃再処理工場爆発事故(3月)、消費税5%にアップ(4月)、ペルー日本大使館占領の強行突破(4月)、駐留軍用地特借法の施行(5月)、勝新太郎の死去(6月)、劇団演研「あなたがわかったと言うまで」公演(7月〜並列するような事件じゃないが)、マザーテレサの死去(9月)、米空母インディペンデンスの小樽寄港フィーバー(9月)、さらに少年による未必の故意(密室の恋ではない)殺人事件もあったり、法秩序維持で(?)死刑執行などなど−。
 こうして見てくると、めでたい話は上村裕子の結婚と演研の北見出立て公演(どこがめでたい)くらいじゃあ〜りませんか。(「う〜ん」これは古い)
 そんなこんなで、 世紀も暮れて行きますが、これを世紀末という重く、暗いイメージとダブらせるのではなく、この小屋では、半世紀におよぶこの恋物語に、お客様の繰り広げられてきたドラマとダブったりするといいななどと思っています。

上村 裕子
 念願の「ラヴ・レターズ」の幕が開く。
 6年前、初めてこの作品に出会った時、私は公私共に新しい出発をした時でした。年齢はさておき、いろいろな可能性を信じ、歩みはじめたあの頃……。それだけに、特に印象深く、いずれ又演りたいと思っていた作品です。
 私事でしばらく休団していたのですが、その間、芝居することで発散できていた内的感情が、自分の中で空回りし、とても辛かった。だから、稽古をしている日々は本当に楽しかった。自分の中からあふれでる感情が、自分のエネルギーになっていくことが実感できたから。
 生活のパートナーを得たことで、気ままに生きてきた生活は一変したけれど、今回は改めて、いろいろな人達の力を借りて歩いている自分を実感しました。  毎夜遅くまで続く稽古に、快く送り出してくれた夫に感謝しています。集団活動の足並みが揃えられない日々にも、受けとめて舞台に立たせてくれた仲間達に感謝しています。そして、観に来て下さったお客様に感謝しています。
 出せる力のすべてで舞台に立ちたいと思います。

赤羽 美佳子
 我が劇団は、公演が決まると「公演体制」と呼ばれる体制に入る。いつもは週2回の稽古が段々増えていき、連日となっていく。
 7月の「あなたがわかったと言うまで」の公演終了後、9月に、北見へ出立公演をすることが決まった。「また演れる」と、とても嬉しかった。しかし、稽古が思うように進まず、日にちだけが迫ってくる。不安が募った。そんな中、演出の「大丈夫、この調子で」と言う言葉に、「本当かな」と思いながらもちょっと安心した。
 そして当日を迎えた。朝6時に小屋に集合。荷物を2台の車に積み込み、会場となるライブハウス「夕焼けまつり」へ。予定より早く会場へ着いたが、北見の劇団「動物園」のメンバーは、すでに作業を進めていた。おかげで会場の設営もスムーズに進み、十分な稽古時間もとれ、初めての空間にも慣れることが出来た。
 そして本番の舞台。稽古では得られない緊張感の中、新たな発見もあり、お客様の笑い声も沢山聞こえて、演じていてとても面 白かった。終演後、「良かったよ」の言葉に嬉しくなって、「また演りたい」「次はもっと良い舞台を」と思うのである。
 帰ってきて、息をつく間もなく「ラヴ・レターズ」の公演。未だ公演体制は続いている。今回はスタッフとして、ポスターを貼ってまわったり、チケットを買って頂いたり…。公演を打つたびに、人との繋がりの中で生きていることを実感する。今出来ることをひとつひとつ積み上げて、ステキに歳を重ねていきたいと思う。  

福澤 和香子
 又もや我が家の物置で猫が四匹出産しました。夏に四匹産んだばかりなのに、猫の発情期は春から夏まで続く為、この様な事はよくあるのだそうです。夏に生まれたオス猫を一匹家で飼っています。名前は「チャコ」。親離れをする前のお母さん猫は、食べ物をあげても自分が食べる前に、まず子猫に食べさせて残りを自分が食べるというとても優しい母猫でした。
 しかし、チャコが我が家に来て一ヶ月後、久しぶりにお母さんとご対面 させてあげると、お母さんはみるみるうちに全身の毛を立てて怒り、チャコも負けじと臭いを嗅ぎ回り、単なるオス・メスの関係になってしまっているのです。猫の世界では親離れをすると、すっかり愛やら情やらというものは無くなるようです。
 「かわいそうに、私は人間に生まれて良かったな」と単純に思ったりして…。でも、よく考えると人間はそれゆえに裏切られ、憎しみ合い不幸になっていく事もある訳で−。
 「オイ、おまえはネコと人間とどっちがいい?」とチャコに問いかけ、自分にも問いただし…「やっぱり私は愛や情で悩みつづける人間がいいな」と答えてみるのです。

富永 浩至
 我が劇団は、通常年に二本の公演を打つ。そのうちの一本を再演にして、作品を深めていこうという試みを行っている。お客さんにとっては、一度観たものをもう一度、という気にはなかなかなれないかも知れないが、作り手としては面 白い作業になる。以前やったときには気がつかなかった新しい発見や、やり残してしまったことなどに挑戦できるからである。この作品も、稽古を重ねるうちに、6年前に見えていなかったものが徐々に出てきてとても面 白い。
 さて、我々のわがままに付き合ってくれた、今日お越しのお客様、再演の舞台はいかがでしょうか?えっ、前回は観ていない、これは失礼しました。

 

 

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