坪井 志展
人生の巻き戻しが出来るのならば、私はいつに戻るだろう。やっぱり小学生かな?ぐずぐずしていて、いつもはっきりしなくて、自分の欲しい物も解らず、いつも姉の後ろを付いて歩いていた私。小学生の私に、行動力があり、意思表示がはっきり出来たなら、きっとその後の人生が変わるだろうな。周りにいた友達も変わり、新しく出会う人も変わる。進路も違ってくるだろう。芝居をしているかな?薬剤師になっているかな?でもそれって、私ではない誰かだよな。いつの巻き戻しなら、私のまま後悔しないで今に至る事が出来るのだろう。
半世紀以上も生きていると、後悔する事が沢山ある。記憶力の極端に乏しい(前回公演の演目が出てこない事が多々ある)私だけど、あの時ああすれば…あの一言を言わなければ…もう一歩踏み出せば…など思いかえす事がある。多くの人と出会い、大切な人たちと別れたせいかな?小学生に巻き戻って、もう一度50年近く生きるのは、さすがにしんどいのでせめて、もう会えなくなった人たちともう一度再会したいな。夢みたいな夢の話でした。
本日はご来場ありがとうございます。
上村 裕子
演研ではいつも、年末には「一年の総括」をし、年頭には「今年の抱負と活動予定」を話しあいます。私はその席で「舞台に立ちたい」と名乗りを上げました。そして、それが今回のキャスティングにつながったわけですが…正直、どうして名乗りを上げてしまったのだろうという思いが日々強くなっています。
出道具の多い作品や食べるシーンのある作品は難しいと思ってきましたが、この作品も出道具と食べるシーンが多い。しかも、その道具が無い!何もないのにその質感を出すという途方も無い困難さを、今思い知らされています。
ただ、今回は演研の【チャレンジ!】ですから、やりがいは十分にあります。『とにかく稽古を重ねるしかない』『とにかくやるしかない』そんな気持ちで進んで来ました。
チャレンジに立ち会って下さる皆様にとって少しでも楽しい時間でありますように…心を込めて舞台を務めます。
本日はご来場、誠にありがとうございます。
野口 利香
この2つの芝居をDVDで観たとき、「へえ〜、こんな芝居作りもあるんだな〜、すごいなあ…」と思ったものでしたが、まさか自分たちが演るとは思いませんでした。あまりにも実験的すぎて、演研の演目としては馴染まないと思っていました。ところが、こうして演研・茶館工房の舞台に乗せることとなり、試行錯誤しながらも初日を迎える運びとなりました。短い芝居なので、セリフはすぐ入るだろうと思いましたが、ところがどっこい、それがなかなか入らない。1シーンを何度も繰り返し稽古して、やっと入ったかなと思ったら、次の稽古まで間が空くと抜けちゃったりする。その繰り返し。自分の中で気持ちの流れが出来てないと、セリフって入らないものだなあと思いました。「あゆみ」はそれが出来ない、役も時間も行ったり来たりなのです。え、それって、どういうこと?と思われたでしょう、それは観てのお楽しみです。
さて、私も人生の折り返し点を過ぎました。若い頃はいろんな分かれ道をわくわくしながら選んで「あゆんで」いた気がしますが、今では自分の選んだ道を必死で「あゆみ続けて」います。そして、「あゆみ続けられる」ことに感謝します。
私事ですが、7月にちょっとした手術をし数週間の療養を要したため、秋公演は役者として参加できるとは思っていませんでした。ところが意外なほど回復が早く、こうして舞台に立つことが出来ます。このことにも感謝いたします。
それでは、2つの不思議な空間を最後までお楽しみください。
本日はご来場ありがとうございます。
金田 恵美
初めてこの芝居のDVDを見た時、こんな芝居もあるのか、と新鮮な気持ちになりました。まさかその芝居をする事になるとは思ってもおらず…。パッと見た感じはそんなに難しくはないように思うのに、いざ取り組んでみると、複数で一人を演じる事の難しさや、出入りのタイミング、立ち姿など、進めば進むほど気になる所が次々出てきて、焦っています。これを書いているのは十月末…公演までに今抱えている心配が、どこまで払拭されるのか。不安ではありますが、どこかワクワクし始めている自分もいます。さて、皆様の前に立っている私は、この空間にどう立っているのでしょうか。そして、この二作品は、皆様の目にどう映るのでしょうか。
本日はご来場頂き、誠に有り難うございます。この空間を、一緒に楽しんで頂けたら嬉しいです。
片寄 晴則
もとより才能などあるはずなく、ただ人間(仲間)と芝居が好きという想いだけで走り続けてきた私ですが、この数年、心身ともに少々息切れを感じるようになってきました。そこで今回は我が儘を通させてもらい、次世代に任せて私は半歩引いての公演となりました。
もう決して若くはないのに、さらに新しい表現に取り組む意欲を持ち続けている団員達を頼もしく眺める毎日で、以前のようにハラハラすることも少なくなっています。しかし、まあ、単に挑戦すれば良いというものではないということは百も承知です。演研ならではの表現で、少しでもお客様に楽しんでいただける作品に仕上げるよう、そして、この挑戦が更なるステップアップに繋がるよう、私もスタッフワークに励んでおります。
本日もまた観客という立場で私達の芝居創りに参加して下さっている皆様に、心より感謝申し上げます。