第74回公演  「モンタージュ〜はじまりの記憶」
 作:高泉淳子、伊沢磨紀   演出:富永浩至

 


 スタッフ
  坪井志展、金田恵美、清水匠、村上祐子、鈴木えりか、片寄晴則
  

 キャスト
  上村裕子、野口利香   


上演にあたって

富永 浩至

 この「演研・茶館工房」のこけら落しから今年で10年なります。この記念すべき年に、劇団員みんなが舞台に立とうということで、今回は春公演の「隣にいても一人」でキャストにつかなかった上村と野口の二人芝居となりました。演目は「モンタージュ〜はじまりの記憶」。初演が1991年ですから、26年前の作品です。発表当初から、いつかやってみたいと思っていたのですが、ようやく取り組むことになりました。

 さて、上演を決めたまでは良かったのですが、実際に稽古に入ると困難の連続でした。まずはセリフの多さ。演じ手は二人だけなのにもかかわらず、台本は100ページ近く。役者たちは本当に覚えられるのかと思っていたことでしょう。更には、老女から少女へ演じ分け。今まで一人が何役も演じる芝居はやったことがなかったので、これも新たな挑戦になりました。

 次にはト書きに出てくる様々なもの。大きな木に始まり池や雲、土管、更にはカンヅメの形をした切り株、エンピツや歯ブラシの形をした大きな丸太などなど。どんな形で再現できるのか、頭を悩ませながら、試行錯誤を繰り返しました。しかし幸いにも我が劇団のお客様にして良き理解者でもある杉本裕子さんの全面的な協力によって、なんとか形にすることが出来ました。これらは本日のお芝居の見所の一つでもあります。

 このような困難を乗り越え、ようやく本日の上演となりました。まだ未熟なところもあると思いますが、観客の皆様に観ていただくことで、更なる高みに登ることが出来れば、そんなに幸せなことはありません。

 本日は、演研・茶館工房へ足をお運びくださり、誠にありがとうございます。

 

つぶやき

「演研・茶館工房」十周年記念公演に向けて
坪井 志展

 2007年1月、「(仮称)帯広演研スタジオ」の図面を目にしてから10年という月日が過ぎました。名称は、大通茶館スタジオ(仮)を経て6月には現在の「演研・茶館工房」に決定。この10年の間、自分たちの年2回公演に加え、この劇場の図面をかいてくださった青年団の杉山至さんの空間ワークショップ、「隣にいても一人」で客演をしていただいた龍昇さんなど、数々のワークショップを開催。(そのいくつかを一緒に経験した杉本さんが、今回の公演で装置スタッフとして参加してくれています)その他にはコンサート、映画の上映なども行いました。

 ここを劇場にと考えた時には、2、3年でもいいから自分たちの空間が欲しいと思っていました。でも、気づいたらもう10年です。劇団員で一つ一つ手作りした(当時は大工さんの劇団員がいました)この空間どこをみてもさわっても愛おしいです。一回一回の公演を終えるたびに、稽古、本番の日々がこの工房に染み込んでいく気がしています。

 私が劇団に入った時には、稽古場は、帯広市民会館(今の市役所あたりにありました)、生徒の帰った後のそろばん教室、営業を終えた「喫茶&シアター大通茶館」など色々な場所で、稽古をし、公演の場所は「喫茶&シアター大通茶館」お店の椅子やテーブルを裏に運び店内に暗幕を張り詰め劇場にしていました。その後「芝居小屋」をなくし、公民館で稽古をし、電信通りの「メガストーン」を借り公演していた時が一番大変だった気がします。

 今のように、セットを作りその場で稽古を重ねることが出来る、時間に制限なく稽古が出来るこんな贅沢な空間を持てた事をとっても幸せに思います。

 今回の芝居は、この空間を思う存分に生かして稽古を重ねることができました。試行錯誤を重ね、なんだかおもしろい場所が出来上がったと思います。さて、これから何がはじまりますでしょうか?ご期待ください。

 本日は「演研・茶館工房」に足を運んでいただきありがとうございました。

 

上村 裕子

  今回の「モンタージュ」は、若い頃から何度か演じてみたいと思った作品です。ですがあまりのハードルの高さと何が何でもやる!というそこまでの強い思いが持てず、上演には至りませんでした。

 何故今なのか?…決して条件がクリアされたわけではなく、いえむしろ年齢や体力を考えるとハードルは更に上がっています。ただ年齢的に最後のチャンスではないかという微妙な追い詰められ感がありました。加齢と共に、やり残してきた事への執着のようなものを最近、強く感じるようになったのも上演のきっかけになったような気がします。

 膨大なセリフも演じ分けも、私にとっては最大級のチャレンジでした。ただ幾つになってもチャレンジできる現状が幸せだと実感しています。舞台に立たせてくれる仲間がいて、観て下さるお客様がいる。感謝は尽きません。

 本日はご来場誠にありがとうございます。少しでも楽しんで頂けましたら、幸いです。

 

 野口 利香

 秋公演にこの「モンタージュ」をやることが、今年の年明け早々に決まっていて、台本も受け取っていたのだが、7月に稽古を開始した途端、「途方も無い…」と思いました。どれだけ頭の中でイメージしていても、実際に立ち、台詞を自分の言葉として吐くことのいかに難しいことか。

 自分にはハードルが高すぎたか?いやいや、どの芝居も常にハードルは高かったではないか。ひたすら前向きに稽古を重ね、何とか公演にこぎ着けました。体力や記憶力の衰えとも向き合いながら苦労はしましたが、それが出来る幸せも感じていたと思います。

 この「モンタージュ」は記憶の組み立てを意味します。五十年以上も生きていると、膨大な時間を過ごしてきたわけですが、思い出せるのはほんの断片です。その時々の感情は大部分忘れてしまっているが、幸せな気持ちだけは覚えておきたいものです。この舞台に立てたことが、幸せな記憶としていつまでも残せることを願っています。

 本日はご来場誠にありがとうございます。

 

金田 恵美

 今回の公演が行われる頃は11月も末。公演の間にカレンダーは捲られ、もう年末…月日が経つのは早いですね。年々早くなっている気がして、ふと立ち止まると、職場と家の往復しかしてない、なんて日も多く、そんな中で工房に来る日があると、ちょっとした息抜きにもなります。まぁ、役者の時とスタッフの時とでは、工房に向かう時の心持ちは異なりますが。

 今回は平日の夜も公演があり、土曜日も珍しく仕事が入っている日で、公演当日はなんだか気忙しい感じもあり、迷惑かけながらの参加になります。いや、公演日を決める前からわかっていた事ではあるのですが。それでもこの公演に参加できる事に感謝しています。今回、公演時は暗闇で声を潜めている私…稽古中はサポート時に思わず声が出てしまう事があるので、それを自覚し気を付けようと思います。口にガムテープでも貼っておこうかしら?

 役者二人の楽しい雰囲気から、心がほっこりするような、そんな時間を皆様にも過ごして頂けたら嬉しいです。ご来場頂き有り難うございました。

 

清水  匠

 今回の公演では、私は音響を担当しています。とは言っても稽古の大半に参加することができませんでした。舞台が出来上がっていく過程に最初から最後までしっかりと加われなかったのが残念ですが、残り少ない稽古を大事に取り組んでいきたいと思います。私はまだ三十年近くしか生きていないにもかかわらず、子供のころの記憶もあいまいで、間違って記憶していることもたくさんありそうです。不確かな記憶ばかりですが、どれも自分の一部ということでこれからも大切にしていきたいと思っています。

 本日は公演にお越しいただきありがとうございました。

 

 ●戻る