第20回公演
ラヴ・レターズ
演出・片寄晴則

 

スタッフ
照明 武田雅子 真鍋伸志  効果 上塚俊介  舞台監督 片寄晴則  制作 上村裕子 村上祐子 

キャスト
上村裕子  富永浩至

とき
1991年7月6日(土)開演午後8時半 7日(日)開演午後2時半 午後6時半
12日(金)開演午後8時半 13日(土)開演午後8時半 14日(日)開演午後6時半
ところ
演研芝居小屋(帯広市西2条南17丁目)
前売り1000円  当日1200円  (コーヒー券付き)

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●上演パンフレットより

 

上演にあたって

片寄 晴則
 この芝居小屋が完成して、はや一年と二ヶ月。二本の芝居と五本のプロデュース公演を手掛け、三月には初の外部での公演として「心の健康フェスティバル」に参加し「今は昔、栄養映画館」を上演。六人の団員でよくがんばってきたものだと思う。ふと気が付くと、平均年齢はすでに三十才を越えてしまい、各々の社会生活が重みを増す中での活動は、正直、厳しいものがある。
 演りたい作品は数多いものの、団員数と、その資質を考えるとなかなか上演を決断できずにいた時、偶然この作品に巡り逢った。今の我々では、力及ばぬ ことは明白なのだが、今後の活動の展開を考えた時、今が挑戦の時期と決断した理由はいろいろある。前述のとおり三十才を越えた我々には、今まで多かった勢いで押し切るものから、そろそろ年令に応じたしっとりした大人の芝居に取り組みたいという欲求があったこと。そして、そういった事に挑戦し御客様の前で恥をかくことで、一歩飛躍できるのではないかという幻想を抱いていることなどなど。従来、手掛けたことのないジャンルにも、演出として触手をそそられた。
 三月いっぱいで仕事を辞め、芝居と係わる時間を多くとるために居を帯広に移した上村裕子、今秋には、ついに父親となる富永浩至。両名とも張りきってはいるものの、まだまだ未熟で男女の深淵を表出するには至らず、加えて、基本的に物語るという技術が伴っていないけれども、舞台の上に、何とか一組の男と女の愛を感じていただけたらと日々、悪戦苦闘しております。春になって、真鍋伸志という十代の若い血も流入し、今後にまた新たな展開が期待できそうな予感があります。皆様の御声援をいただきながら、創立時のスローガン、
 『活発な日常活動を持続することにより、地域に根ざした創造活動を』
を忘れることなく、邁進してゆきたいと思っております。


つ ぶ や き

上村 裕子
 以前から、もっと芝居に係わる時間を多くもちたいと望んでいました。三月に仕事を辞め、慣れ親しんだ土地に別 れを告げ、四月から帯広市民となり、快適な毎日を送っています。手放したものは大きかったけれど、生活が変わり今まで見えなかったものも見えてきました。何よりも生活の拠点が一つになったことは、不器用な私にとって良かったようです。
 日々思うのは、年令はどんどん上がるのに、自分がそれについていっていないこと。今回とてもステキな作品に出会い、大切につくろうと稽古を進めながらも、小さな自分が小さな役を作り上げてしまう。
 新しい一歩を踏み出した貴重な作品です。人生の深み、重みも、まだ何も分かっていない私だけれども、背伸びせず、二十九才の今の自分にできるすべてを舞台にのせることができたら幸せです。大好きな仲間たちと私たちの夢を理解して下さるお客様の前で精一杯輝きたい。これが私の選んだ道だから・・・。

村上 祐子
 おもしろそう。舞台を観てみたい。そう思った脚本でしたが、まさかうちの劇団で上演することになろうとは思ってもみなかった。しかし、新しい分野に挑戦してみるのも良いかもしれない。
 「ご苦労さま」で終わらずに、お客様の多種多様な批評、酷評をいただき、劇団にとって得るものが多い公演になると良いのですが・・・。

武田 雅子
  勤め先の私が所属する部署には三人の若者が居る。最近はほとんど毎日と言っていい程一緒に夜遅くまで残業している。もう同世代とは呼べない程歳の離れた彼等を見ていると、遊びたくても遊べずにいる様な気がして、仕事を回している自分が三人の青春を奪っているのではないと錯覚してしまう。稽古に行けない自分を棚に上げて・・・。
  以前は他人のことを考えてあげられる自分で在りたいと思っていたにも拘らず、公演が近づくにつれて、自分がパニック状態になっていた。今回もかなりの焦りはあるが、何がどうなっているのか、どうしなければならないのか、冷静に判断できる自分に驚く。この歳になってやっと大人になったのか・・・・。仕事上人に接する機会が増して、回りの人を理解しようと努力した結果 なのか。要するに今までが子供過ぎただけだった・・・のだと思う。彼ら三人を見ていて、若いということが羨ましいと思う事はあるけれど、今は戻りたいという思いは無い。今の私には派手さはないけれど、奥が深く、静かな青春がある。それを形として表したのが今日の舞台です。
  何年か後、きっと私にも今の時代を懐かしむ頃がやって来るだろうと思う。戻りたいと思う時期がやって来るのかも知れない。けれど今は今日を大切に大切に生きて行かなければ思う。
 『稽古不足の幕は待たない。』
 私が出来る事を精一杯やるだけです。

富永 浩至
  昔芝居をしていた友人に会うと、必ず一様に「まだ続けてるんだ。」と言う。その言葉には、その歳になってまだそんな事やってるのかというニュアンスが感じられる。しかし、しばらく芝居の話をしていると、「俺もまたやりたいなあ。」という言葉が口をついて出てくる。それならまた始めればいいのにと思うが、やはり会社や家庭など、いろいろな状況を考えると大変なようだ。
  今年の春、東京で芝居をしている友人と話す機会があり、その話になった。やはり彼も同じ経験をしている様だ。昔の仲間がまだ続けているというのは嬉しいものだ。自然と会話も弾んでくる。幸いなことに、私の大学時代の友人はまだ芝居を続けている。お互いにしばしば連絡を取り合っているわけでもないのだが、彼も頑張っているのだから自分もまだまだ頑張らなくてはと思うのである。
 さて今回の芝居だが、今まで演じてきたものとは少し毛色が違っている。果 たしてこの新しい試みが、御客様にどのように受け入れられるだろうか。友人の顔を思い浮かべつつ稽古に励む毎日である。

 

 
 

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アンケートより

・“静”の中の“動”が感じられてよかったと思う。今までの気迫で押す芝居も楽しく観せてもらいましたが、今回の芝居は色々と思いを巡らせながら観ることができました。(女性)

・自分の中の思い出や体験が頭をよぎりました。こういう感覚って、みる人にとっては大切ですよね。いい芝居を見せてもらいました。ありがとうございます。(保母)

・二人のやりとりだけで、よりリアルな映像を描けるものだと感心しています。内容がシリアスで、少し心が痛みました。(男性・34歳)

・前半「まさか、まさか、まさか…」。5分休憩。「やっぱりこのまま、まさか…」「愛っていつもむなしいけれど、素晴らしいわ」。最後3分、涙2滴。(女性・23歳)

・2人の人生が目に見えるように思えた。とても不思議な気がした。(女性・大学生・18歳)

・はじめて見たけれど、なんかよくわからなかったけどよかった。男性はほんとに涙が出てて、力入ってるなーって思った。すごくよかったよ。また、見に来ようと思った。女の人もよかったです。(女性・OL・23歳)

・新しい形の劇なのでとまどいましたが、このような形もじっくりやれば味が出ますね!どんどん変わったかたちをやって下さい!(男性・22歳)

・今回の公演を見て、長いようで短い人生について考えるきっかけをいただきました。(保母)

・少しストーリーが読めてしまった。でも、とてもわかりやすいように直してくれているなと思った。女性の役者さんが、少し感情が入りすぎたのではないでしょうか。もう少し淡々としていた方が良かったのでは…?でも、とても良かったです。十分楽しませてもらいました。(女性・会社員・24歳)

・はじめ2時間と聞いて、すわって見ていられるかと心配したが、あっという間に終わってしまいました。特に後半のひっぱりがすごい!感涙です。(女性)

 

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