第21回公演
ラヴ・レターズ
演出 片寄晴則

 

スタッフ
照明 武田雅子 真鍋伸志  効果 上塚俊介  舞台監督 片寄晴則  衣裳 赤羽美佳子 平山ゆり 横田育香
制作 上村裕子 村上祐子 廣原禎美

キャスト
上村裕子  富永浩至

とき
1991年11月2日(土)開演午後7時 3日(日)開演午後7時 4日(月)開演午後3時
ところ
演研芝居小屋(帯広市西2条南17丁目)
前売り1000円  当日1200円   (コーヒー券付き)

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●上演パンフレットより

再演にあたって

片寄 晴則      

  新しいスタイル、勢いで押し切ることでは表現できない男女の深淵、大人の味わい‥‥。どれをとっても新たな挑戦を強いられた今回の作品ですが、思いがけなく、皆様の厚い御支持をいただき、初演時の追加公演に続き、今回の再演の運びとなりました。ずっと続いていた年二作の上演ペ−スは崩れたものの、十月には、釧路での初の出立て公演も実現し、様々な意味で活動の幅を広げることの出来たこの作品に出逢ったことで、集団として充実した一年を過ごせたような気がしています。初演から三か月では、表現の深さなど変わり様もありませんが、劇団の財産として大切に回を重ねていきたいと思っておりますので、今後ともお付き下さいますよう、お願い申し上げます。
 さて、前回の公演後に新人も加入し、平均年齢も一気に若返りました。来年はまた新たな展開でお目に掛かることが出来るよう、創立時のスロ−ガン『活発な日常活動を持続することにより地域に根ざした創造活動を』を忘れることなく、邁進してゆきたいと思っております。
 本日も又、お忙しい中、この狭い朽ち果てた我が芝居小屋へお越しいただいたことに、団員一同、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。


釧路公演制作日誌

制作・上村 裕子


9月29日 (日) 快晴
 さて我が演研が釧路で出立て公演をすることになり、今日はいよいよその仕込みの日。無事済めば次は本番の10月12日まで釧路へは行かないつもり。制作としては、経費のこともあり、何とか一度で済む様にと祈る気持ちだった。芝居小屋に七時に集合し、三台の車に分乗して一路釧路へ。
 それにしても我が劇団員の何とお金持ちのことか。片寄は器材がたくさん積めるようにチンドン車(派手派手な外装なのでその名が付いた)を購入し、武田はぴっかぴかの新車と、ちょっと羨ましい私(現在失業中)である。釧路での公演場所は、我々と同じように活動をしている劇団北芸の芝居小屋。うちの小屋より一回り広いのがとても使いやすそう。舞台、照明のセッティングを終え、立ち稽古をする頃には外はもう真っ暗。照明と音を入れての立ち稽古をするが何か感じが違う。小屋の大きさの違いなのか、演出の片寄も首を捻る。結局セッティングのやり直し。来週また来ることにして本日は終了。制作としては頭が痛いところだがこれは仕方なし。もっと頭が痛かったのは、帯広に帰ってきてからなぜか盛り上がってしまい食事の後カラオケボックスに行ってしまったこと。ああ制作費が‥‥。

10月6日(日)快晴
 前回の反省から今回は制作費節減のため、米を購入し自炊しようということになった。昼はカップラ−メンとおにぎり、夜は車の中で残りのおにぎりというメニュ−。一人文句を言ってた人もいたが、みんなで食べると何でもおいしいもの。文句を言ってた当人もおにぎり三個も食べて満足そう。セッティングも順調にいき、リハ−サルも無事終え、演出よりOKの言葉。何とか小屋の違いをうめることができた。道新と釧路新聞の記者の方も取材に来てくれ、チケットの売れ行きも良いようだ。さて、後は本番を待つばかり。当日は頑張ろうとみんなで意気をあげ、帯広へ戻る。

10月12日 (土) あいにくの雨
 二週連続で晴れた釧路も、本番当日は雨降り。前回でセッティングなども終っているので慌てることはない。舞台監督の片寄から出される「当日行動予定表」によればリハ−サルは一時半から。まだ時間は十分。小屋にいると落ち着かないのか、富永と新人の二人はコ−ヒ−を飲みにでかける。片寄と武田は再度、音と照明の打ち合わせ。私はすることがなくウロウロしていると、回りから落ち着い てくれと注意される。いつものことではあるが、何度経験しても本番前というのは落ち着かない。あいにくの雨で客の出足が悪いのではと心配したが、七十七人と超満員。おかげで北芸の皆さんは入れずに受付のところで黙って二時間立ち通し。受付ベテランの村上女史によると、お互い顔を見合わせながら非常に気詰りだったとか。何とか無事初日の幕も下り、その夜は交流会。それにしても北芸の皆さんのお酒の強いこと。私は明日の舞台のことを考えて先に休ましてもらいましたが、皆はそれぞれに釧路の夜を楽しんだよう。行動予定表によると、就寝時間は一時カッコして努力目標となっていましたが、果たして‥‥。

10月13日 (日) 引き続き雨
 八時起床。体操・発声練習をし、ひと汗かいた後朝食。毎回私たちの朝食を作ってくれる村上女史が同行しているので、先週と比べると豪華なメニュ−。しかし、この場にいなかった人が一人。聞くところによると、昨夜北芸さんとかなり遅くまで飲んでいたとか。「もう年だから無理は出来ないのにねえ」とはTさんの発言。二日目も、降り続いた雨にもかかわらずお客さん六十名。チケット売りに頑張ってくれた北芸さんには本当に感謝。中には昨夜に引き続き観に来てくれた人もいて、暖かい拍手を頂く中、無事公演終了。最後の挨拶では片寄が「台風とともにやって来ました、帯広の劇団演研です」と切り出し、笑いをとることも忘れていない。そして、いよいよバラシ。大通茶館で公演をしなくなってから、当日のバラシはしていないので、その頃のことも思い 出され、ジ〜ンと来るものが‥‥。すっかり片付いた舞台の上で記念撮影をして、釧路北芸の皆さんと別れた。失敗もいろいろあったが、新人の二人もよくやったし、他の劇団員にしても、良い勉強になったと思う。今後の活動を続けていく中で、この出立て公演で得た経験は貴重なものになるだろう。

 

 

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アンケートより

・とてもすてきな2時間でした。(上村先生、保育所にいるときより、ずっとずっと生き生きしていてすてきでした)(保母・23歳)

・今までとは違って、20代半ばの世代にはとても感動できる作品でした。現実にこのような異性がそばにいたらいいなと、自分のこれからの人生とだぶらせてみせていただきました。(女性・銀行員・24歳)

・お二人のやりとりをぬすみ見ているようで、又、お二人のお芝居に夢中になり、ドキドキしながらあっという間に時間を過ごさせて頂きました。(女性・28歳)

・芝居小屋で公演をみたのは初めてでした。とても感動しました。雰囲気がとても好きです。又、来たいです。(女性・看護学生・21歳)

・裕子ちゃんの真剣さにうたれました。ぐっと成長した感じ。富永さんの笑顔、いいですね。あたたかいです。涙が出ました。(女性・63歳)

・実直な男性といちずなでエキセントリックな女性の対比が印象的でした。「言葉と声の表情」で、これほどの濃密な表現ができるということは、ちょっとした驚きでした。「大人の劇」という気がします。にがさとユーモアと─。女性の破滅的で傷つき果 てたラストが本当に痛ましく涙ぐんでしまいました(恥ずかしいことに)。(男性・会社員・36歳)

 

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