坪井 志展
今年30回目の結婚記念日を迎えました。私が大学を卒業した頃は、23、4才で嫁にいく(今はこんな表現の仕方はしないのかな?…)のが一般的でしたので、いつまでも結婚しようとしない私に、母から「いいから一度はしてみなさい。嫌なら帰ってくればいいのだから」と言われたことを思い出します。
その後私は、遅まきながらも普通に恋愛をし、結婚。そして気が付いたら夫婦になっていました。これはもう絶対に夫婦だなと実感できる今の自分がいます。この芝居の昇平とすみえは、朝起きたら夫婦になっています。これは私が体験した新婚旅行の朝とも違う、今私がパートナーに感じる「私たちは夫婦だと実感できる」って事なのでしょうか?30年でも一晩でも、実感するのは一瞬の事。色々あった30年、「嫌なら帰ってくれば」の言葉に後押しされた若かりし私。いつ夫婦を実感したのかはわかりませんが、今が楽しい事は確かです。
17年前の25周年記念公演から33ステージ、何度も観ていただいている方もいらっしゃると思います。今回は演出が変わり、キャストの変更もあり、今までとはちょっと違った「隣〜」に仕上がっていると思います。「春子」役は変わっていませんが、その時に、何を感じ、何を見ているかによって同じセリフに違った感情がわきあがってくるように、新たな妹、義弟と新たな気持ちで真摯に向き合いたいと思っています。観劇の後に、夫婦とはなんぞや?と考えていただければ嬉しいです。
本日は、お忙しい中「演研・茶館工房」に足を運んでいただき誠にありがとうございました。
上村 裕子
今回の演目「隣にいても一人」は、演研にとって特別な作品です。そして私個人にとっても、特別思い入れのある作品です。前回の北見・劇団動物園との合同公演が最後になるのではないかと思っていたので、今回の上演はとても嬉しいです。改めてこの作品と向き合い、味わい深さを改めて感じています。キャストが違うのだから生まれる空気感が違うのは当たり前なのですが、本当に新鮮です。
今日ご来場頂いたお客様の中には、何度も観て頂いた方や、今回初めての方、いろいろな方がいらっしゃると思います。それぞれの立場でどんな感想をもたれるか、それがまた楽しみです。舞台から漂う空気感もありますが、舞台にいると客席から漂う空気もキャッチします。双方向のキャッチボールが出来て、作品はより厚みのあるものに育つと思います。新生「隣にいても一人」を一緒に育てて頂けると幸いです。
本日はご来場誠にありがとうございます。
野口 利香
この作品の題名「隣にいても一人」について、考えてみました。
人は他者と関係を築きながら生きているわけですが、血が繋がっていようがいまいが、本当に分かりあうことはなかなか難しい。自分の心の奥底は見せられないし、相手の心の奥底も見ることが出来ない。そんな中で、一緒にいたいと思う人が現れ、夫婦になったりする。動物のように子孫を残すことだけを目的としているわけでもなく、何故か「一緒にいたい」という感情が発生する。発端は「好き」という感情なのかもしれないが、その濃度が薄れても夫婦であり続ける。
かく言う私も夫とかれこれ25年以上も夫婦でいる。子孫を残す目的は果たしていないが、血の繋がった親兄弟よりも一緒にいる時間は長くなり、正直言って一人でいるのと変わらないくらい楽である。ん、「隣にいても一人」って、隣にいても邪魔にならない存在ってことか?う〜ん、ちょっと違うか…。そもそも、たまたま出会った人と夫婦になって人生を共有するなんて、偶然に偶然が重なって起こる不条理なことなのかもしれないのに、そこに心の平安を求めてしまうのは何故なのでしょう。皆様もこの芝居をご覧になった後で、夫婦であることと「隣にいても一人」について、考えてみてください。
本日は、ご来場ありがとうございました。
金田 恵美
この作品に自分が役者として参加する日が来るとは思っていませんでした。初めてこの作品の台本を手にしたのは、入団してそれほど経っていない頃。あの頃からずっと舞台袖から見守ってきた作品。演研に書き下ろされた作品とはいえ、自分はきっとこの作品で舞台に立つ事はないだろう、と思っていました。このタイミングで来るとは…。
ずっと見守ってきたからこそ、作品にスッと入る事はできましたが、今まですみえを演じてきた方の言い回しや間の取り方が染み付いていて、自分なりのすみえをどう表現すれば良いのか迷いました。でも、今回昇平を演じる清水が私とは逆で、まっさら中で役と向き合うので、稽古を通して自分の中に今までとは異なる感情が沸き上がる事もありました。まだ迷ってる部分も、フワフワしている部分も多いですが、それはそれで楽しく、本番ギリギリまで模索が続くと思います。ずっと見守ってきた作品だからこそ、今はこの作品で舞台に立てる事が楽しい。そんな気持ちが伝われば、そう思います。
本日はご来場頂き有り難うございました。
清水 匠
私が「隣にいても一人」の公演に参加するのは今回が初めてになります。この劇では新婚の夫婦を演じるということで、自分が新婚の頃を思い出しながらやっていこうと考えていたのですが、なかなかうまくいきません。そもそも自分が新婚の頃どのような気持ちであったかをあまり覚えていません。こんな状態なのでこのつぶやきを書いている現在はものすごく不安ですが、本番まであと3週間あるので、その間で自分が演じる役、そして自分自身としっかり向き合って、劇に取り組んでいきたいと思います。
本公演にお越しいただきありがとうございました。