第84回公演  「さらだ殺人事件」
 作:別役 実   演出:富永浩至


 スタッフ
  野口利香、上村裕子、金田恵美、賀来海穏、大松澤友里恵、片寄晴則  

 キャスト
  男1:富永浩至
  女1:坪井志展  男2:清水 匠  男3:小澤 厳


上演にあたって

 

富永 浩至

 もう30年近く前になりますが、平田オリザの「思い出せない夢のいくつか」という芝居を上演しました。事件らしい事は何も起きない「静かな演劇」と呼ばれていた平田さんの作品を上演する事は、当時、かなりの冒険でした。

 劇団内でも懐疑的な雰囲気でしたが、半ば強引に押し切った形で上演に至りました。その時の上演パンフに、この「さらだ殺人事件」の事を書きました。その数年前、東京の信濃町にある文学座のアトリエでこの芝居の初演を観たのですが、その印象が強烈だったのでしょう。そのような芝居を創りたいと、熱く綴っていました。

 平田さんはその著書の中で「観客は普段見ることのできない、経験したことのない、ゆえにイメージの共有のしにくいものを欲します。私は、観客の一番観たいもの、そして一番イメージの共有のしにくいものは、人間の心の中だろうと考えています。」と書かれています。

「私たちは、普段、他人の心の中を見ることはできません。家族や恋人でさえも、本当の気持ちというのはよく分からない時が多くあります。しかし、優れた演劇や映画に出会うと、主人公の気持ちが痛いほど分かるということを経験しています。登場人物の気持ち、心の中が、直接的なイメージとして観る側に伝わった時に、演劇的な感動が起こります。」

 その当時の私は、「さらだ殺人事件」を観て、その感動を十分に味わったのだろうと思います。

 人の死というかなり重いテーマを扱っていますが、ユーモアーも忘れていないとても面白い戯曲です。その面白さを伝えるために、日々稽古を繰り返しています。

 本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。皆様の心に残る作品になりますように。

 

つぶやき

坪井志展 

 このお芝居は、37年前、年一回の演研観劇ツアーで劇団の仲間とともに文学座アトリエで観た作品です。

 東京スリーディという二泊三日のホテル付の激安チケットで東京へ。その日は昼と夜の公演を観て、金曜が出発日ならば、澁谷のジャンジャンで夜の「十時劇場」観劇、次の日の午前中は歌舞伎座か寄席へ、そしてまた昼夜公演観劇。終演後には都会の街中を案内してもらい不思議なお店で、観劇の感想を語り合う。観たいものがない時には、上野の美術館へも行きました。とにかく良いものを、作品を観る事に貪欲でした。いまでも体力、気力があればどこにでも出向きます。

 文学座アトリエというのは、文学座の稽古場であり、前衛的実験的な作品を上演する「アトリエの会」の拠点となっています。ここで最初の観たお芝居は、気がついたら観客のはずの自分が裁判陪審員になっていました。フラットな空間が、観に行くたびに異空間を作り出し、全く傾向の違う芝居を見せてくれます。

 文学座アトリエは、イギリスの建築様式(チュダー様式)が採用されているそうです。建物には(歴史などはもちろんです)かなりの違いがありますが、劇団の創造と修練の場であることには変わりないと思います。

 今回はこの帯広の演研・茶館工房の中で何かを感じていただければと思っています。

 本日は、お忙しい中、足を運んでいただき誠にありがとうございます。

 

上村 裕子 

 私はとてもアナクロな人間で、車もスマホも使いこなせずにいる機能がたくさんあります。いや、あることすらわかっていないものもあると思います。

 そんな私が最近スマホのユーチューブで、音楽を聴く事がマイブームになりました。ジャニーズのあるグループの一曲が好きで、何度も聴いていたら(ユーチューブは親切ですね)そのグループの別の曲が入るようになり、又その曲が好きになり聴いていると…エンドレス状態です。

  いつの間にか、メンバー情報も入る。イヤイヤ嫌いじゃないけど、曲が好きなの??と思っていたら、何とそのグループから三名が脱退。残念に思いながら又曲を聴くと特集状態で流れてくる。だまって聴いてたら、いつの間にか九人グループの歌に変わってる。恐るべしユーチューブ!?今度は九人グループの曲にはまりそうな自分が怖い。

  アナクロで流されやすかったようです、私。演劇と全然関係のないつぶやきで失礼しました。

 今回は、味わい深い作品です。十分に味わって頂けると嬉しいです。ご来場、誠にありがとうございます。

 

 野口 利香 

 今年、還暦を迎えた。還暦祝の色は赤であるが、そこにはもう一度「赤ちゃん」として生まれ、新たなスタートを切るという意味もあるらしい。

  そう考えると、ちょっとしたリセットを行い、新しい自分と出会えることを期待しながら、生活を変えてみるのもいい。これまでの自分に一旦区切りを付けて、視点を変えるだけでも違った景色が見えるのかもしれない。私にとって、自分を変えることはとても難しいことなのだけれど、いい意味での開き直りが出来たらいいなと思う。日々の生活でも、芝居をするうえでも。

 今回の作品「さらだ殺人事件」は、皆様の想像力が試されるかもしれません。目の前でかわされる会話を目撃しながら、想像力の翼を存分に広げてくださればと思います。

 本日は茶館工房に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。ごゆっくりお楽しみください。

 

金田恵美

 『発達とは、上昇的な変化だけではなく、下降的な変化も含む』

  生まれて数十年、自分が年を取れば周りも年を取る、そんな当たり前の変化を受け入れる難しさを感じています。何処かで拒否している自分。変化を受け入れられる人とは何が違うのか。何処までいっても大人になりきれないんだよなぁ…なぁんて病みっぽい事を呟いてみたり(笑)。

  それでも日々は過ぎるし対応しなきゃいけないので、表面上だけでも笑顔で。変化しても一緒にいたいと思う気持ちって?自分の中には無い気持ちに触れて、自分の未熟さを感じる日々です。

 今回の作品の男と女は、どんな家族なのか?その時の心の有り様によって見え方が変わるかもしれない。色々な側面から楽しんで頂けたら嬉しいです。

 

小澤 厳 

 本日は観劇に足をお運びいただきありがとうございます。今回で通算三回目の舞台に立たせていただくことになりました。頑張ります。

 今回の芝居は、タイトルどおり「殺人」というものが背景に描かれたものです。殺人行為というものは法的にも倫理的にも絶対に認められるものではありませんが、それぞれの殺人事件には様々な背景があり、色々な理由があることを考えさせられるものがあります。今回の芝居はさておき、世の中には殺人犯人に対し同情をせざるを得ないものもあることでしょう。

 今回の芝居を観終わって、皆さんが何を感じておられるのか非常に興味が湧くところです。別役実作品特有の「なんだこれ?」で終わる方も多いかもしれませんが、きっと何かが心の中に残ることと思います。

 居心地の悪い不条理の中にゆったりと身を委ねつつ、心の中で「うーん・・・」と唸っていただけることを期待したいと思います。

 ごゆっくりご観劇ください。

 

清水 匠 

 コロナウイルスによる自粛が落ちつき、以前の活気が戻りつつある世の中ですが、なんとなくやらないで済んでいたことまで戻ってきたような気がして、どうも落ちつきのない日常を過ごしています。

  でもおかげでまたみなさんに演劇を観ていただけるわけなので、文句ばかりも言っていられません。頑張ります。

 本日はご来場いただきありがとうございます。

 

大松澤友里恵

 本日はご来場いただきありがとうございます。気がつけば数年…ひっそりと経過していました、毎回活動に参加できている訳ではないので誰だろう…という方が多いと思いますが、受付に居たりします。

 この作品は色んな表情を魅せてくれます。見方によっても色々と変わってくるのかもしれません。

  一つ一つ試行錯誤しながら仕上げています。表情や間、空気感、そして言葉の伝え方一つ一つに注目しながらご覧頂けたらと思います。

 

賀来 海穏

 自分にとって、今回で三回目の本番公演。音響、照明の両方を担当させていただきます。

  舞台効果を同時に二つ操作するとなると、稽古中は、あちらが立てばこちらが立たずと言った状態、照明の操作に集中していると、音響が疎かになり、操作のバランスを保つのが大変でした。照明と音響は、役者のように舞台に立って、お客様に直接みられる役とは対照的に、役者の入り乱れる舞台にアクセントを加える役であると、今回の公演の稽古でより実感しました。

  舞台効果を駆使することで、舞台の影の実力者となることを目標に今回の公演に見えない形で出演させていただきます。

 本日はご来場頂きありがとうございます。お楽しみ下さい。

 

 

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