道東小劇場演劇祭inアゴラ 報告

当日ご覧になった皆様からいただいたアンケートの集計などです。
アンケートにご協力下さった皆さま、ありがとうございました。


アンケート集計・北芸
アンケート集計・動物園
アンケート集計・演研

 


北海道新聞夕刊2003年10月17日(金)より
 北見、釧路、帯広の三劇団がつくる道東小劇場ネットワークが初の東京公演「道東小劇場演劇祭inアゴラ」を成功させた。三劇団合計9ステージを目の肥えた演劇ファンら580人が観劇、劇団も貴重な体験を持ち帰った。(加藤浩嗣)

 参加は北見・劇団動物園(1988年創立、中村聡代表)と釧路・劇団北芸(60年、加藤直樹代表)、帯広・劇団演研(75年、片寄晴則代表)。互いの公演を手伝い、批評し高め合ってきた延長で、演劇祭は2001年から今年9月まで帯広、釧路で計三回開いた。初の東京開催は、活動を知る劇作家・演出家の平田オリザ(劇団「青年団」主宰)が「真しに取り組んだ質の高い芝居をぜひ東京でも」と、自ら運営する劇場での企画制作を買って出た。
 13日の一組目は動物園。門肇作「こころゆくまで。」(松本大悟演出)は部下の結婚スピーチ原稿に悩む警察官と、その家に入ったインテリ空き巣の軽妙なやりとりの二人芝居。過去に道内四カ所で上演した得意の演目だ。この日も作者の門も訪れ、「東京でも怖くて間を作れない劇団がほとんどだが、行間を丹念に読み、たっぷり間を取って演じてくれた」と賞賛した。中村代表は「おろそかにしているところなど、お客さんの指摘も厳しく的確。この貴重な経験を生かしてよりよい芝居にしたい」。北見のライブハウス「夕焼けまつり」で11月8日(土)9日(日)の両日、「凱旋公演」を予定している。

 二組目、北芸は別役実作「この道はいつか来た道」(加藤演出)。粗末な身なりの老いた男女の出会いと旅を、独特の不思議な会話でつづる。終幕、雪が舞い散る中で寄り添う二人の姿は、近松浄瑠璃の心中物に通 じる切なさだ。五十代の女性客はアンケートに、「小劇場芝居がこれほど面白いと初めて知った」。9月の演劇祭釧路開催でゲストとして「完成度が高い。ぜひ全国を回ってほしい」と激賞した演出家・女優の木野花も12、13日と続けて観劇に訪れた。加藤代表は「本当にありがたい。疲れたけど、楽しかったね」と表情を崩した。
 演研は平田が00年に同劇団に書き下ろした「隣にいても一人」(片寄演出)を披露した。離婚間際の夫婦の、夫の弟と妻の妹が「朝、目が覚めたら夫婦になっていた」という奇妙な設定。静かで微妙な会話と間が人間関係の織り成す作品だ。
 平田は公演後のアフタートークで、「僕の演出では冷たい感じになる作品だけど、片寄さんの演出では温かい。お互いの夫婦生活への思いの表れでしょうか」と評して会場を沸かせた。片寄代表は「劇場空間が一日一日なじむのが分かった。青年団の方々のサポートもありがたく、芝居って本当に人と人のものなんだなと思う」。
 平田は「東京だけが演劇の中心ではないと観客に知ってもらうことは、東京で劇場を経営する人間の社会的役割。いい仕事ができた」と話し、参加者たちをねぎらった。
 

 

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