第2回 道東小劇場演劇祭 報告

当日ご覧になった皆様からいただいたアンケートの集計とアフタートークの様子です。
アンケート集計は、各劇団の演目をクリックしてください。
ご協力下さった皆さま、ありがとうございました。


 

劇団動物園(北見)     
「東京大仏心中」    動物園アフタートーク
作:竹内銃一郎 演出:松本大悟

 2002年11月2日(土)午後7時開演

劇団 北芸(釧路)
「いかけしごむ」     北芸アフタートーク
作:別役実 演出:加藤直樹

 2002年11月3日(日)午後2時開演

劇団 演研(帯広)
「隣にいても一人」   演研アフタートーク
作:平田オリザ 演出:片寄晴則

 2002年11月3日(日)午後7時開演

アフタートーク
ゲスト・・・坂手洋二氏(劇作家・演出家・燐光群主宰)
※坂手さんのコメントを載せましたが、かなり要約してありますので坂手さんが言いたいこととは、
多少違っているかも知れませんが、そのあたりはご容赦してください。

動物園「東京大仏心中」について
 これは、ぼく、佐野史郎さんと中川安奈さんの初演を観ているのです。作者の竹内さんはすごくくせ者で、ものすごくひねるというか、裏返すというか。芝居に対しては確信犯的なところがあって、演劇というのは普通 の人はこう思うだろうけど、オレはちょっと違うぜっていうのを、必ずやる人なんです。そのひねくれているのを観ているので、素直にやればとてもしみじみとした良いところもあるんだなあと思いました(笑)。気になったのは、舞台美術の方なんですが、これ縦横が90度になってるんですね。テーブルとか籐椅子のセットとか。90度になっている舞台は落ち着くようで、逆に落ち着かないんです。あと、畳がない所に布団を敷いたり、布団は出てくるのに、座布団がないとか。観ている方はなぜだろうと考え出すんです。でそうすると、そういうところのバランスをどうとるか、が問題になってくるんです。何をねらっているんだろうというふうになってしまうんです。旅館の一室だということを説明するために畳を敷くのではなく、その空間のへそみたいなものをつくることが大切だと思います。あと、お父さんが再婚するという話には、もう少しリアリティーが欲しかったです。これは大事なことで、娘と娘の相手二人という話しにリアリティを出すためには、お父さんの相手との関係がきちっとたてておく必要があると思います。でも全体的には、素直にやっている良さと、自分たちがこう感じるからこうやっているという良さがあってよかったです。   Topに戻る

 

北芸「いかけしごむ」について
 これは別役さんの奥さんがやっている「かたつむりの会」 に書き下ろした作品なのですか?別 役さんのこのシリーズは、奥さん向けに書いていて、男の役が別役さんで、女の役が奥さんで、普段奥さんに対して抱いている感情が、いっぱい出ているような気がして、怖いなあと思うんです(笑)。始まるときの音楽は、普通 の世界でないという感じでよかったです。で、その音楽が終わって、しばらく舞台が空っぽで、非常にいいタイミングで女の人がでてきましたね。客席からでてきたのは、大正解ですね。もったいない気がしたのは、女の人が歩き出すのと、しゃべり出すのと、きびすを返す所なんですが、歩き出してしゃべるのか、きびすを返してからしゃべり出すのか、決めておいた方がいいですね。役者の方もその方が安心して出来ると思います。会話劇の場合、俳優がセリフに集中できるようにというか、セリフをどうおいておくかのために介添えが必要で、そういうところがいくつかあるとよかったと思います。女の役の方、福山さんでしたっけ。この世界の中で一貫してゆるがないところはよかったです。 俳優は相手に働きかけていく一方で、自分が相手からものをもらっているわけですね。相手役から感じたことを、エネルギーにして次の台詞を発するエネルギーになる。その受けの演技の方がちょっと弱かったのが残念です。加藤さんの方がキャリアがありますので、その辺をおさえています。彼女の方が経験を積んで、そういうことがでてくるとおもしろいと思います。    Topに戻る

 

演研「隣にいても一人」について
 ここでしか観られない芝居を観られて幸せです。朝起きてみたら、台本が出来ていれば良いなあと思いました(笑)。平田さんの書き下ろしと言うことで、平田さんとのつながりの中で、平田さんの芝居に対する考え方ときちっと向き合ってきた芝居なんだと思いました。大塚さんも青年団の役者さんとはちょっと違うにおいがあって、面 白く拝見しました。台本のことなんですが、朝起きたら夫婦になっていたというのがどうも腑に落ちないんですね。その腑に落ちなさをどう料理するかという課題をオリザが作ったのかも知れないんですが、だとすると、これ、女性が自分の家に帰ったつもりが、男性の家にいたという、空間移動ですね、その不条理が一つあって、あと結婚していると思いこんでるという不条理があり、二つの不条理があるんですね。これでかなり混乱するんです。場所移動はいらないんじゃないか、という気もするんです。まあ、その後に酔っぱらって知らない人の家に泊まっていたという面 白い話も出てくるのですが、その辺のねらいがあるのかどうかが、わからなかったです。 兄夫婦の方も離婚するんですが、こちらもどうしてするのかが わからない。全体として、わからないところが多いの気がするです。まあ、でも北朝鮮に拉致された方々は、向こうで突然お前達は夫婦だと言われて夫婦になってしまう。人って、人から言われたり、自分で思いこんでそうなってしまうんだなと、勝手に思って観てました。   Topに戻る

 

道東小劇場演劇祭について
 
とても充実した 、お世辞抜きで、本当に充実していて、とても楽しかったです。三本とも本当に面 白かった。こうやって、みんな持ち出しで、ぎりぎりのところでやっていると思うんです。時間とか、あるいは家族の理解を得るのに大変だとか。 でも、続けていって欲しいです 。地域発信とか言いますが、その言葉自体が相変わらず中央指向で言っている。アメリカでは、リージョナルシアターということで、30年ぐらい前に予算をかけてやっている。地域の劇場とか劇団にお金をかけて、その後それが確実に根を張っているんです。こういうことがもっと増えていかないとなかなか面 白くならないです。

打ち上げの様子
集合写 真です(^^)

 

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