さて、稽古の様子が演研の記事だけでちょっと寂しいですが、座談会の方はどんどん行きたいと思います。
前回に引き続き演劇祭開催の経緯についてです。
富永:それで、「道東小劇場演劇祭」をやるということが2月の時点で決まっていたんですが、6月に、予定していた会場(演研芝居小屋)が無くなったんですね。あれは確か、5月ごろに坪井と2人で昼間稽古していたんです、春公演の。そしたら測量の人が来て、ここは更地にするからって言われて。
松本:それは衝撃ですね。
富永:えっ、僕ら使っているのに何も聞いていませんって。(笑)で、結局6月に取り壊しになったんですね。でも、結構大変じゃないですか。9月に演劇祭をやるって決まっていて、6月に会場が無くなるって。それって、すぐに「メガストーン」があるから大丈夫だってことになったんでしたっけ?
松本:結構、探すのが大変だったって聞いた記憶がありますね。
加藤:あの小屋は何年使ったの?
片寄:11年ですね。90年の3月に開いて、2001年の6月ですから。
松本:そんなもんだったんですね、もっと使っているかと思った。
加藤:そんなもんだよ。そんなもんだって言うのは、そういうエポックというのは、そんなに長いものではないよ。
富永:で、僕らの春の公演は、小屋が無くなったことでお流れになってしまったんですよね。
片寄:6月の段階で、「メガストーン」の話は出ています。
富永:そうだ。夢幻(当時帯広にあった劇団)の青砥くんたちが稽古場に使っていると聞いていたから、そこを会場に使えないかという話は出ていたよね。
片寄:7月1日にメガストーンでどうかって皆で打ち合わせをしているんですね。
富永:全然覚えていないな。え、皆っていうのは、北見も釧路も来てるんですか?
片寄:ええ、北見からも釧路からも来てます。それで、連絡事項で7月7日に動物園がメガストーンを見学に来ますと。
富永:7月に会場を見にきていたんだ。まあ、そうだよね。動物園は慎重に公演を打つから、そんなやったことのない、見たこともない場所で急にやれったって出来ないよね。
松本:間口のサイズを測ったりした記憶があります。
片寄:その時はもう小屋が無くなって、佐久間が死んだあとだよね。
富永:え、あ、佐久間さん亡くなったのいつでしたっけ?
片寄:6月27日だもの。
富永:ああ、そうか。そこが決まってから、また何かあったと思っていたけど、ああ、そうか。
松本:佐久間さんの葬儀に来たとき、初めて(芝居小屋のあった場所の)更地を見たんですもの。
富永:あ、そっか。
松本:ここが更地になったんだって。
富永:じゃあ、結構立ち直りが早いじゃないですか?
片寄:(苦笑)いや、立ち直ってないって。やることが決まってたから。
富永:ああ、そうか。
松本:富永さんが畳み掛けてきたんです、このとき。
富永:あ、そう。なんで?
片寄:だから、皆こんなになってるし、富永一人で何が何でもやるぞって、やらなきゃダメだって、メガストーンなら出来るからって。
松本:皆のケツたたいて。
片寄:そんなこと言ったって、あそこの会場どうするの?って言っても、オレがつくるから大丈夫とか言って。
富永:本当にですか?
片寄:富永一人頑張っていた。
松本:あの時の富永さんの勢いすごかったですよ。
富永:やらなきゃいけないって思ってたんだよね。
松本:だからメガストーンの仕込みの時も、絶対手伝いに行かなきゃと思ったし。
富永:ちょうどその頃、青年団が幕別公演をしていて、その年は「カガクするココロ」ですか?
片寄:「カガクするココロ」の時はまだ佐久間がいたのね。
富永:ああ、そうか。
片寄:二回目だから「冒険王」。その時に大塚さんも来ていた。その時に舞台づくりのノウハウを聞けば出来るって。青年団は舞台の上に客席をつくっていたから。
富永:そうそう、青年団が客席もつくっていたから、それをちゃんと教えてもらったら、メガストーンにも客席が出来るんじゃないかと思ったんだ。
松本:で、作りましたもね。
片寄:それで9月2日に会場を下見して、照明は会場にあるものを使えそうだ。客電はスナッチライトを持ってきて、演研仕様にすると。客席は、最前列は畳敷き、次の列はカートン。そして平台を組んでパイプ椅子を使うと。そういうことを決めたんですね。
富永:それで開催にこぎ着けたんですね。
片寄:そうです。
富永:オレ実行委員長だったから、潰しちゃいけないという使命感みたいのがあったんだね。
加藤:その頃は、まあ片寄さんは別にして、お前が演研の中心になっていたということだね。
富永:佐久間さんがいなくなったんで、書類書くことなんか佐久間さんがやっていた、それは僕がやらなければと思っていたんですね。
加藤:その前までは、なんとなく大久保と同級生という認識だったんだけど。
富永:ということで、第一回の演劇祭が行われたわけですが。
片寄:はい、では、演劇祭仕込みのタイムテーブルを読み上げたいと思います。
富永:何ですか?
片寄:8時30分、福澤トラクターから4トン平ボディートラックを借り、富永が坪井宅へ。待機していた片寄、坪井、金田でカートン、コンパネ、スポーツ畳を積み込む。
富永:ああ、畳ね。
片寄:9時、メガストーン到着。さわやかな秋空のもと、宇佐美はトラックの荷台に腰掛けニコニコしている。稲田の資材置き場へ向かう。平台、材木等を積み込み、室内の畳を積み込もうとしたが、富永が家の鍵を忘れる。(笑)
富永:・・・(苦笑)
片寄:大通茶館から暗幕、工具、布団などを積み込む。畳を敷いて、座布団の天日干しをする。富永はトラックを返却に。宇佐美はコンパネの穴あけをする。11時20分、釧路勢到着。取りあえず昼食。演研は大通茶館へ。11時40分、北見勢到着。客席づくりをする。1時30分、当日のタイムテーブル、役割分担の説明、富永実行委員長より。演研は昼食をとり、釧路はコーヒータイム。動物園はリハの準備。3時5分、北芸、帰路につくと。
富永:え、帰路って何ですか?
片寄:だから帰ったの、会場を見て。
加藤:前の週じゃないか。
富永:ああ、そうか、会場を一週間前から借りていたんだ。これは本番一週間前の日曜日の話ですね。
片寄:そう。で、3時15分、十勝毎日新聞の取材。4時から暗幕張り。
森田:私たちお昼食べただけじゃない。(笑)
富永:いやいや、ちゃんと会場を下見してますから。(笑)
片寄:それから照明の仕込み。7時、だいたいの仕込みをして、演研は解散。動物園はリハーサル。福澤は動物園の指名で、スタッフをすることになっていたので残留。それで、次の日24日は祭日だったので、僕たちは照明の仕込みや舞台裏の青球の仕込み、配線処理など。2時から照明合わせ。2時30分稽古開始。途中で道新の取材。5時15分からリハーサル開始、6時30分終了ということです。
(つづく)