今週は第5回演劇祭でのお話です。打ち上げの席で飛び出したエピソードが語られています。はい、どうぞ。
「ホテル山もみじ別館」書き下ろしの経緯
富永:あれ、5回目の打ち上げの時に、僕は都合で先に帰ったんですが、龍さん(演研に客演)が酔っぱらって、書き下ろせって言ったんですか?
片寄:僕らは平田オリザに書き下ろしてもらったから、動物園は鈴江さんの作品をこれだけやっているんだから、書き下ろししたらいいんじゃないのって。そうしたら、みんな(道東小劇場ネットワークの3劇団)に書いたらいいんじゃないのって話になって、4場構成にして、それぞれが練習できるようにして、最後の4場だけみんなで集まって稽古するようにするって、なんとなく話がまとまった。その場はそれでお茶を濁した感じだった。
松本:そしたら龍さんが、
片寄:そうそう、酔っぱらって、俺も出せ!って言って。ベロベロになって「鈴江、お前書け!」って(笑)。鈴江さんしょうがなく、「はい」って言って、あれは言わされたよねって言ってたんですが、本当に書くことになるとは、半信半疑だった。
富永:でもそれは、酒の上の話でしょう。
松本:そうです。
富永:それで、正式に書いて欲しいって、オファーしたんだ。
松本:そうですね。それから正式に中村の方からお願いして。もちろんお金のかかる話ですから、それであえばお答えしますって話だった。それで役者のプロフィールを送った。最初は、佐藤と広部の二人芝居を書いてってお願いしたんですよ。
佐藤:あれ、3人じゃなかった?
写真左から鈴江氏、1人おいて片寄(演研)、龍昇氏(演研に客演)
松本:いや、歌ちゃん(岡歌織)は転勤があるかもしれないから、入れられないと思った。でも歌ちゃんが、「でも、もし旦那が転勤しても、私はここに残ってやるから」って言うから、じゃあ3人の作品で、広部と菜美ちゃんを中心にして、岡も出る形でって言ったら、鈴江さんの方から「中村さんは面白いキャラなのに、中村さんは出なくてもいいんですか。」って逆に言ってきたんです。
富永:はい、はい。
松本:作家がそう言うんであれば、じゃあ中村も入れて、4人で書いて下さいってことになった。
富永:なるほど。
松本:それでああいう本になったんです。
中村:お互いに、こっちは頼んでいいんだよねってのと、向こうも書くのはいいけどどうやって書いたらいいの?という感じだった。
加藤:観てないのかな、俺は。
松本:いや、多分観てます。前回(第6回)の演劇祭でやりましたから。
富永:あ、はははは。また加藤先生もとぼけちゃって。(笑)
加藤:ああ、俺たちが韓国から帰ってきた時にやったやつかい?
富永:はい、そうです。だから5回目の演劇祭を北見でやって、その次の年がちょうど動物園の創立20周年で鈴江さんに書いてもらって、一年あけて2009年に帯広で演劇祭でやったんです。
片寄:だから第5回の演劇祭が生んだのは「ホテル山もみじ別館」ですよ。演劇祭がなかったら、あれは書いてもらえなかったわけでしょう。
松本:そうですね。
(つづく)